小さな空間での豊かな生活:Type St Small Living

デザイナーJack Chenが描く、33㎡のアパートメントでの新たな生活スタイル

小さな家(Tiny house)運動からインスピレーションを受け、限られた空間に全てを詰め込むことで、新たな生活の形を提案するプロジェクト「Type St Small Living」。デザイナーのJack Chenが、33㎡の1LDKのアパートメントを、昼はオフィスとしても機能する住まいに変貌させた。

このプロジェクトの特徴は、アパートメント全体に伸びる木製のボックス。その中にはキッチン、バスルーム、ランドリー、エントランス、ミニセラー、ダイニングスペースといった機能が詰め込まれており、ベッドルームのヘッドボードとしても機能する。また、バスルームとキッチンをつなぐ窓からは自然光が差し込み、プライバシーを保つために窓ガラスにはスイッチで霞むフィルムが貼られている。

アパートメントの他の部分は白を基調としており、リビングルームとベッドルームを分ける壁には、テレビや折りたたみ式のデスクが隠されている。さらに、アパートメントの最後にはフルハイトのビルトインワードローブが設けられ、白い背景に溶け込むことで広々とした空間を演出している。

このデザインはSketchupで3Dモデリングされ、そのモデルがカスタムデザインの詳細を理解するためのコミュニケーションツールとして使用された。最終的な製品は主に工場で製造され、現場で組み立てられた。

このアパートメントは、必要に応じて機能が現れたり消えたりするように設計されている。これは、折りたたみやスライドなどの様々な方法で家具を動かすことで実現している。例えば、デイタイムにはリビングルームに隠された勉強スペースやオフィス機器が出現し、夜にはそれらが隠される。また、ダイニングテーブルも使用しない時は完全に隠され、必要に応じて壁からスライドし、2人用のテーブルが展開される。

このプロジェクトは、限られた条件をデザインのインスピレーションに変えるという課題に立ち向かった。制約となったのは、33㎡という小さなアパートメントの床面積、2.4mという低い天井高、外部空間のなさ、キッチンが機能していないこと、そしてバスルームにしかない北向きの窓だった。これらの制約を乗り越え、快適で招き入れるような、実用的な空間を作り出すことが目指された。

このプロジェクトは、小さなアパートメントを全ての機能を持つ家に変えるというアイデアを追求したもので、昼間はオフィスとしても機能する。壁や隙間に組み込まれた多機能家具により、必要に応じて空間が現れたり消えたりし、視覚的な混乱を最小限に抑える。このデザインは、ミニマルな生活環境を豊かで暖かいものにし、ミニマルデザインがモダンな生活アクセサリーを排除する必要があるという考え方を覆すことを目指している。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Jack Chen
画像クレジット: Tess Kelly Photography
プロジェクトチームのメンバー: Jack Chen
プロジェクト名: Type St Small Living
プロジェクトのクライアント: Jack Chen


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Type St Small Living IMG #5
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