伝統と革新が交差する、京都ウェスティン都ホテルのチャペル

香取猛徳と羽原文のデザインが生み出す、新たな結婚式の形

自然豊かな環境に敬意を表し、岩と木を主役に据えた空間。伝統的な日本の美学が息づく神聖な場所が、京都ウェスティン都ホテルのチャペルである。

130年の歴史を持つウェスティン都ホテル京都は、京都市東山区の麓に位置するエレガントなホテルである。その敷地内に別棟として存在するチャペルの大規模な改装と耐震補強が行われ、そのエレガンスと品質を維持しつつ、新たな京都の精神を表現する場となった。

このチャペルは、従来の教会式だけでなく、神前式や非宗教的な式典を求める現代のカップルの多様なウェディングスタイルに対応できるよう設計されている。そのため、既存の枠組みを可能な限り活用しつつ、伝統的な神社や寺院の建築要素を取り入れ、木製の天井格子に間接照明を織り交ぜることで、木々の間から降り注ぐ太陽光を想起させる。

建物の背後に広がる森とのつながりを強化するため、窓の格子を取り除き透明性を高め、自然石の壁に太陽の光を当てることで、外部空間を内部に取り込む工夫がなされている。また、材料自体が生み出す雰囲気を大切にし、防火処理を施した杉材と小豆島の山から採取した未加工の花崗岩を使用することで、繊細さと力強さの対比を表現している。

既存の枠組みを変えずに新たな空間を創出するという課題に対し、天窓の設置が許されなかったため、自然光の外観を再現するために人工照明を使用した。また、天井と壁の木製格子は半防火性であることが求められたため、防火材を使用した。

このチャペルの最も特徴的な要素である、木々の間から差し込む光を再現する照明デザインと、天井格子の形状と密度(間隔)の設計は、プロジェクトの大部分の努力を占めていた。壁の木製ルーバーは、天井格子と連携して全体的な空間を結びつけ、チャペルに求められる高品質で静謐な反響を確保するとともに、深みとリズムを生み出す。

結果として、伝統的な日本の美学と豊かな自然環境への深い敬意が込められた神聖な空間が生まれた。これは、新たな京都の精神を表現する、非常にオリジナルなチャペルである。

このデザインは、2021年のA'インテリアスペース、リテール&エキシビジョンデザイン賞でゴールデン賞を受賞した。ゴールデンA'デザイン賞は、デザイナーの才能と知恵を反映した素晴らしい、優れた、トレンドセッティングな創作物に授与される。それらは、芸術、科学、デザイン、技術を推進し、その優れた特性で世界に大きな影響を与える尊敬される製品と明るいアイデアを体現している。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Katori archi + design associates
画像クレジット: WMH_1.jpg:Photographer Tomohiro Sakashita, 2020 WMH_2.jpg:Photographer Tomohiro Sakashita, 2020 WMH_3.jpg:Photographer Tomohiro Sakashita, 2020 WMH_4.jpg:Photographer Tomohiro Sakashita, 2020 WMH_5.jpg:Photographer Tomohiro Sakashita, 2020
プロジェクトチームのメンバー: Takenori Katori Fumi Habara
プロジェクト名: The Westin Miyako Kyoto Chapel
プロジェクトのクライアント: Katori archi + design associates


The Westin Miyako Kyoto Chapel IMG #2
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The Westin Miyako Kyoto Chapel IMG #4
The Westin Miyako Kyoto Chapel IMG #5
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