手彫りの美学:松岡成毅の「Cocoda」チェア

AI時代の職人技が生み出す、一点ものの価値

松岡成毅氏が手掛ける「Cocoda」チェアは、人間の体に最適にフィットする複雑な立体曲線を、一つ一つ手彫りで生み出すという、AI時代における新たな価値を提唱しています。

「Cocoda」チェアの特徴は、立体的に曲がった腕木部分です。これは、木を曲げて作ることはできず、一つの木材を手彫りで削り出すことでしか生み出せない形状です。必要最低限の機能だけを持つシンプルなチェアが、最も快適で美しいと松岡氏は考えています。

この製品の美しい有機的な形状は、ユーザーが触れたくなる魅力を持っています。日本の手道具を用いて、一つ一つが職人の手によって木材から削り出されています。

座り心地を最適化するために、木材の塊をナイフで彫り出すことで生み出されます。これにより、曲げ木やクッション、スプリングでは得られない快適さが表現されています。このために、日本の手道具である鉋やナイフが不可欠です。

「Cocoda」チェアは、2011年からモデルチェンジを重ね、2020年に現在の形に至りました。東京のKOMA Corporationで製造されています。

製品の各部分には意味があり、優れた機能を持つべきだと松岡氏は考えています。これが究極のシンプルさであり、シンプルさを追求することが美しいデザインに繋がると信じています。

このチェアを作るためには、職人としての日々の訓練と技術が必要です。初代モデルから現在のモデルまでには9年の歳月を要しました。強度、構造、座り心地などの様々な制限があるため、チェアのデザインは非常に難しいですが、その挑戦は価値があると松岡氏は語ります。

この「Cocoda」チェアは、2023年にA' Furniture Design Awardのシルバー賞を受賞しています。この賞は、優れた技術的特性と素晴らしい芸術的技巧を持つ、創造的で専門的に注目すべきデザインに贈られます。これらのデザインは、優れたレベルの卓越性を示し、ポジティブな感情、驚き、そして驚嘆を引き出します。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Shigeki Matsuoka
画像クレジット: photo= Franco Tadeo Inada movie Director=Ibuki Matsuyama
プロジェクトチームのメンバー: Shigeki Matsuoka
プロジェクト名: Cocoda
プロジェクトのクライアント: Shigeki Matsuoka


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