北井小夜子は、モルフォ・レテノール・ヘレナという蝶が空中で舞う様子に触発され、この作品を創り出した。帯線を用いて立体的な蝶を作り出すというアイデアは、これまで刺繍業界で使われることのなかった素材を使うことで実現した。
このブローチは、手作業で一つ一つ作られており、アクセサリーとして身につけるだけでなく、家庭でのディスプレイとしても楽しむことができる。北井が開発した両面3D刺繍技術を用いて、薄くて光沢のある蝶の翼を再現し、形状を変えることができる立体的な蝶を作り出した。使用されている金とプラチナの糸は、日本の伝統的な帯の製作に使われるもので、その硬さからこれまで刺繍業界では使用されることがなかった。
この作品は、北井が開発した両面3D刺繍技術を用いて製作されている。素材としては、24Kの金糸、99.9%のプラチナ糸、メレーダイヤモンド、プラチナのコレットとプロング、ラメ糸、ワイヤー、そして18Kの金のブローチピンが使用されている。
製品のサイズは、幅80mm x 奥行き70mm x 高さ40mmで、重さは7g。パッケージは、幅217mm x 奥行き219mm x 高さ40mmで、製品と箱を合わせた総重量は420gだ。
このプロジェクトは2021年の6月に始まり、同年の12月に千葉県で完成した。蝶の翼の形状やパターンは、その動きとともに視覚を捉える。その外観と動きを再現することが、このプロジェクトの成功にとって不可欠だった。そのため、北井はインターネットで多数の蝶を分析し、作品の自然な外観を確保した。適切な素材を選択し、ステッチ方法を試行錯誤した結果、立体的な外観を再現する新しいアプローチが生まれた。
この作品の製作には、いくつかの課題があった。まず、使用するプラチナと金の糸は硬く、通常の糸よりも力を必要とする。しかし、力をかけすぎると糸が切れてしまう。また、手作業で翼のパターンを対称にステッチする作業は、集中力と丁寧な作業が求められた。最後に、外出時にしっかりと衣装に固定できるよう、独自の配線技術を開発するために多大な努力がなされた。
この作品は、ウェアラブル・アートとして、また家庭でのディスプレイとしても楽しむことができる。両面3D刺繍技術を用いて、同じパターンを作品の両面に同時にステッチするという新しい手法を開発した。その結果、単独の糸とワイヤーを用いて、薄くて粉々になりやすく、光沢のある翼を再現することができた。また、翼はしっかりと台座に固定されているため、簡単に取れることはない。使用されている金とプラチナの糸は、その硬さからこれまで日本の刺繍業界では使用されることがなかった。
この作品は、2022年のA'ジュエリー、アイウェア、ウォッチデザイン賞でアイアン賞を受賞した。アイアンA'デザイン賞は、プロフェッショナルで産業的な要件を満たし、業界のベストプラクティスと優れた技術特性を統合した、優れたデザインと実用性、革新性に対して授与される。これらの作品は、満足感とポジティブな感情を提供し、より良い世界に貢献している。
プロジェクトデザイナー: Sayoko Kitai
画像クレジット: Sayoko Kitai
プロジェクトチームのメンバー: Fukumi Tadaishi
Atsushi Inoue
Fumiko Murakami
プロジェクト名: Butterfly
プロジェクトのクライアント: Sayoko Kitai