第六感覚を刺激する照明デザイン

アレクセイ・ダニリンが手掛ける直感的操作のフロアランプ

プロプリオセプション(自己知覚)という概念に基づき、視覚に頼らずに操作できるフロアランプを開発したデザイナー、アレクセイ・ダニリン。彼の新作「The Sixth Sense」は、人間の第六感覚を刺激する照明デザインとして注目を集めている。

ダニリンは、人間の感覚器官が五つだけであるという考え方に疑問を持ち、自己の身体を空間の中で認識する感覚、プロプリオセプションに着目した。この感覚は、目を閉じても簡単な行動ができるほど、私たちの日常生活に深く組み込まれている。そこで彼は、この感覚を最大限に活用するための照明デザインを追求した。

「The Sixth Sense」の特徴的なデザインは、その操作性の簡易さにある。ランプの基部は十字形に作られ、どの場所にでも最適に配置できるようになっている。また、不必要なディテールは排除され、スイッチはシェードの上部に配置されている。これにより、座った状態でも腕の長さで操作できるようになっている。

製造技術の開発過程では、当初予想していなかった変更が加えられた。まず、ランプを分解可能にすることで、配送時の破損を防ぎ、包装材の節約と自然資源の合理的な利用を実現した。また、当初は光沢のある黒色を予定していたが、試作品の制作後にマットな黒色に変更した。これにより、触感がよく、実用的にも優れたデザインとなった。

ランプの仕様は、高さ1500mm、幅320mm、奥行き278mm。素材には金属、霧ガラス、LEDを使用している。スイッチのデザインには特に注意を払い、オン/オフが簡単で、触感も良く、調和のとれたクリック音がするようにした。また、LEDボードを使用することで、電球の交換が不要になった。

このランプの開発は、プロプリオセプションの研究の一環として行われた。これにより、デザインに多くの制約が課され、全ての技術的な特性を考慮に入れる必要があった。しかし、その結果として、部屋の機能を変えても再利用できる、長年にわたり現代的な見た目を保つことができるランプが生まれた。

「The Sixth Sense」は、人間の第六感覚を刺激し、視覚に頼らずに操作できる照明デザインとして、2022年のA'ライティング製品およびフィクスチャデザイン賞でシルバーを受賞した。この賞は、優れた専門性と革新性を示す、トップレベルのクリエイティブでプロフェッショナルなデザインに授与される。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Alexey Danilin
画像クレジット: Image #1 / visualizer / - Dmitry Cherednikov, 2021. Image #2 / visualizer / - Dmitry Cherednikov, 2021. Image #3 / visualizer / - Dmitry Cherednikov, 2021. Image #4 / visualizer / - Dmitry Cherednikov, 2021. Image #5 / visualizer / - Dmitry Cherednikov, 2021.
プロジェクトチームのメンバー: Lead Designer - Alexey Danilin Engineer - Nikita Morozov Product Manager - Natalia Danilova Assistant Product Manager - Karim Tabishchev Visualizer - Dmitry Cherednikov
プロジェクト名: The Sixth Sence
プロジェクトのクライアント: Alexey Danilin


The Sixth Sence IMG #2
The Sixth Sence IMG #3
The Sixth Sence IMG #4
The Sixth Sence IMG #5
The Sixth Sence IMG #5

デザイン雑誌でさらに詳しく読む