東西のテイストが交錯するエステティックサロン「Mouiller」

90年の歴史を持つ建物が現代の美容空間へと生まれ変わる

大正時代から続く日本の建築美と現代のデザインが融合したエステティックサロン「Mouiller」。デザイナー大江俊介によって、90年の歴史を持つ倉庫が、東西のテイストが交錯する美容空間へと生まれ変わりました。

「Mouiller」は、大正時代に建てられた二階建ての倉庫をリノベーションしたもので、内外ともに古さを感じさせる一方で、内部は余計な装飾を排除したシンプルでダイナミックな空間となっています。特に、一階から二階の天井までをつなぐ10メートルの吹き抜けは、空間にダイナミズムをもたらしています。

このプロジェクトでは、90年前の建築時に使用された仕上げ材をそのまま活用しつつ、新しい仕上げ材をミックスすることで、東西のテイストが交錯するエキゾチックな空間を創出しました。天井は木製の板(当時のまま)、壁は漆喰、ペイント、タイル、壁紙、床は木製フローリング、モルタル、タイルと、多様な素材が使用されています。

一階はレセプションエリア、インタビュースペース、イベントスペースとして開放的に設計されています。二階はトリートメントブースとパウダールームが配置され、プライバシーが重視された空間となっています。六つのトリートメントブースは同心円状に連なっており、その中心には大きな円形の公共ソファがモニュメントのように配置されています。

このような空間設計は、トリートメント中に裸になることで緊張する人々の不安を和らげるために考案されました。プライバシーを保ちつつ、開放感とリラクゼーションを提供する空間となっています。

このプロジェクトは、2021年8月から10月までの間に大阪で行われました。大江俊介と照明デザインの須藤夏希、落合美優によるチームが、空間全体の統一感と連続性を考慮しつつ、各フロアの機能性を追求しました。その結果、この「Mouiller」は2022年にアイアンA'インテリアスペース、リテールアンドエキシビジョンデザイン賞を受賞するに至りました。

古き良き日本の建築美と現代のデザインが融合した「Mouiller」。90年の歴史を持つ建物が、新たな美容空間として生まれ変わったそのプロセスは、デザインの可能性を改めて示してくれます。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: SHUNSUKE OHE
画像クレジット: Photograph : TETSURO GOTO by ISOLA Inc.
プロジェクトチームのメンバー: Interior design : SHUNSUKE OHE Lighting design : NATSUKI SUDO and Miyuu Ochiai
プロジェクト名: Mouiller
プロジェクトのクライアント: SHUNSUKE OHE


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