伝統と現代をつなぐ設計、"Stodolove"

アンナ・マリア・ソコロフスカによる歴史的農場の再生

このプロジェクトは、ポーランドのRumiaにある旧農場の建物を改装するというものでした。その建物は、緑豊かな自然と古い果樹に囲まれた敷地に位置しており、その地域の歴史を感じさせる存在でした。設計者アンナ・マリア・ソコロフスカは、この建物を現代の住宅へと生まれ変わらせることを目指しました。

その設計のインスピレーションは、周囲に残る古い木造の納屋から得られました。そのため、建物の形状や外観の仕上げには黒い板材が用いられ、古い納屋を彷彿とさせるデザインとなっています。このように、歴史的な要素を尊重しながらも、現代的な要素を取り入れることで、過去と現在をつなぐ設計が実現しました。

また、この建物の内部レイアウトは、一見すると通常とは異なる方法で計画されました。それは、リビングルームの窓から始まりました。この窓には座席が設けられ、全体の中心となる空間が作られました。このように、一つ一つの要素が丁寧に計画され、ユニークな特性を持つ住宅が完成しました。

建物の外観には、シベリア松の板材とスカンジナビア杉の板材が使用されました。これらの材料は焼き付けられ、耐久性と美しさを兼ね備えています。また、地階の部分には黒いスライド式のシャッターが設けられ、納屋の扉を思わせるデザインとなっています。

このプロジェクトは、2019年に始まり、2023年に完成しました。その間には、建築法や土地利用規制、地質調査や建物の構造調査など、様々な課題がありましたが、それらを乗り越えて完成した"Stodolove"は、その優れた設計が評価され、2023年のA' Architecture, Building and Structure Design Awardでブロンズ賞を受賞しました。

このように、"Stodolove"は、歴史的な建築物を現代の住宅へと生まれ変わらせるという挑戦的なプロジェクトでしたが、それは同時に、過去と現在、伝統と革新をつなぐ素晴らしい設計となりました。