「Catch The Wind」は、名古屋市中心部に位置する14階建ての賃貸集合住宅です。従来のバルコニーとは異なり、三次元的に設計されたバルコニーが都市の風を捉え、クローゼットや浴室天井のチャンバーを通じて新鮮な空気を室内へ循環させます。この設計は、都市部で不足しがちな自然換気を促進し、住民が屋外との一体感を感じられるよう工夫されています。
このプロジェクトの特徴は、既製品の部材を活用しながら、コスト効率と高いパフォーマンスを両立している点です。構造体には耐久性の高い鉄筋コンクリートを採用し、モジュール化された部品によって施工やメンテナンスも容易に。これにより、都市の高密度な環境下でも持続可能な住まいを実現しています。
バルコニーの立体構造は、風を効率的に建物内部へ導き、クローゼットや浴室を経由して調整可能な換気口から排出されます。この仕組みにより、湿度の低減や空気質の向上が図られ、住民は室内外の境界を感じさせない快適な生活を享受できます。特にパンデミック以降、健康や環境への配慮が高まる中、自然換気と都市とのつながりを両立した設計は大きな注目を集めています。
設計に際しては、都市部での換気の難しさやプライバシーの確保といった課題にも細やかに対応。住民が意識せずとも自然と換気を取り入れられるよう、風の流れと居住性のバランスが追求されました。研究では、三次元バルコニーが換気効率や居住快適性を高めることが実証されており、エネルギーコストの削減や健康的な都市型住環境のモデルとして高く評価されています。
「Catch The Wind」は、2025年にA'デザインアワード建築部門でシルバー賞を受賞。都市生活に新たな価値をもたらす集合住宅として、今後の都市型住居のあり方に一石を投じています。都市での暮らしに自然の風とつながりをもたらすこの革新的なアプローチは、持続可能で健康的な未来の住まいを提案しています。
プロジェクトデザイナー: Shigeki Kumazawa
画像クレジット: Photographer:Yasuko Okamura
プロジェクトチームのメンバー: Shigeki Kumazawa
プロジェクト名: Catch The Wind
プロジェクトのクライアント: Seiwa Corporation