ポストヒューマン時代を映す美的医療クリニックの新境地

産業遺構と自然が共鳴する、台湾・桃園の革新的空間

東アジアの美的医療分野は、未来的な「ポストヒューマン」物語と日常が交差する新たな潮流を迎えている。Yawen LiuとWenche Chenによる「Essencare」は、台湾・桃園の都市記憶を呼び覚まし、産業遺産と自然の共存を体現するクリニックとして、ポストヒューマン時代の序章を紡ぐ。

「Essencare」は、台湾・桃園の歴史的な製粉工場に着想を得て設計された美的医療クリニックである。都市の産業遺構を象徴する大きな柱や、かつての景観を想起させる意匠が空間全体に散りばめられている。設計チームは、都市の記憶を現代的な美意識で再構築し、過去と未来をつなぐ独自の空間体験を創出した。

このクリニックの最大の特徴は、中央のパティオ(中庭)から差し込む自然光が、室内を「垂直の森」へと変貌させる点にある。四季折々の光と影が空間にリズムを与え、訪れる人々に時の移ろいを感じさせる。大きな柱はプライバシーと安らぎの場を提供し、小さな柱には野生の植物が絡みつき、都市と自然の対話を促進する。

エントランスには、水面の波紋を模したメタリックプレート「Water Ripple Device」が設置されている。光と影が揺らめくことで、まるで水中にいるかのような幻想的な雰囲気を演出。さらに、内部には「機械式水波ライトチューブ」が滝のように配置され、来訪者を超現実的なアクアティック体験へと誘う。

敷地は長辺20.5メートル、幅7.4メートル、総面積140平方メートルという限られた空間ながら、各エリアごとに異なる景観が広がる。産業遺構の円柱形状を過度に主張せず、自由な動線と発見の余地を持たせることで、来訪者が自分自身の内面と響き合う「隠れた場所」を見つけられるよう工夫されている。

このプロジェクトは、ポストヒューマン時代における美的医療クリニックの空間体験を再定義することを目指し、都市遺産の記憶を新たな物語として再構築した。2025年にはA' Interior Space, Retail and Exhibition Design Awardのブロンズ賞を受賞し、芸術・科学・デザイン・テクノロジーの融合による生活の質向上が高く評価されている。

「Essencare」は、産業遺構と自然、過去と未来が交錯する場所として、都市生活者に新しい癒しと発見の体験を提供している。美的医療空間の新たな可能性を示すこの試みは、今後のデザインにおける重要な指標となるだろう。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: UNDER ROOF
画像クレジット: Image #1: Photographer YHLAA, NC, 2024. Image #2: Photographer YHLAA, NC, 2024. Image #3: Photographer YHLAA, NC, 2024. Image #4: Photographer YHLAA, NC, 2024. Image #5: Photographer YHLAA, NC, 2024.
プロジェクトチームのメンバー: Designer: Yawen Liu Designer: Wenche Chen
プロジェクト名: Essencare
プロジェクトのクライアント: Underroof


Essencare IMG #2
Essencare IMG #3
Essencare IMG #4
Essencare IMG #5
Essencare IMG #5

デザイン雑誌でさらに詳しく読む