紙と木で創る持続可能なエキシビションブースの新潮流

環境配慮とデザイン性を両立したクリエイティブな展示空間

東京ビッグサイトで2023年8月に発表された「Paper and Wood」は、福地孝大が手がけた持続可能性を体現する展示ブースです。紙と木のみを用いたこのプロジェクトは、素材の本質を際立たせつつ、廃棄物ゼロを目指す新しい展示のあり方を提示しています。

「Paper and Wood」は、クレシアが製造する環境にやさしい紙製品の理念を具現化した展示ブースです。ティッシュやトイレットペーパーに使われる木材資源の持続可能性を伝えるため、素材は徹底して紙と木に限定。イベント後もすべての資材を再利用・リサイクルする設計思想が特徴です。余計な加工を避け、素材そのものの魅力を引き出すデザインが印象的です。

このブースのユニークな点は、日常的に使われる「紙」と「木」の価値を再認識させる点にあります。木材資源が生活に不可欠であることや、紙のリサイクルの重要性を詳細な展示で訴求。装飾にも紙と木だけを使用し、環境負荷の低減とサステナブルな実践を可視化しています。これにより、来場者に持続可能な社会への意識変革を促します。

構造面では、クレシアのトイレットペーパーが従来品の約3倍の長さであることを、上部に約75メートルの紙を用いて視覚的に表現。木材は3種類の合板をランダムに組み合わせ、自然な色調と質感を強調しています。木製構造は分解を前提に設計され、ネジのみで固定。床材もパズルのような形状で、工具不要で簡単に設置可能です。

ブース内では、製造過程で出た余剰ティッシュ箱素材を使ったスタンプラリーを実施。通常の紙ではなくリサイクル可能な素材を活用することで、紙の再利用の大切さを体験的に学べる仕組みです。参加者はスタンプを押した用紙を回収ボックスに投函し、リサイクルの流れを実感。また、使用済みティッシュ箱の廃棄方法に関するアンケートも行い、来場者の意識向上に寄与しました。

従来の展示会では大量の廃棄物が発生していましたが、クレシアの取り組みは廃棄物削減の新たな概念として業界から注目されています。紙と木というリサイクル可能な素材のみを用いることで、展示会の持続可能性を飛躍的に向上。廃棄コスト削減による経済的メリットも生まれ、他の出展者や業界全体に波及効果をもたらしています。

構造面で最も困難だったのは、従来の金属パイプに代わる木製パイプの開発でした。北海道産トドマツの間伐材を活用することで、地域林業の振興にも貢献。独自性と品質を高めると同時に、森林資源の課題解決にも寄与しています。

「Paper and Wood」は、紙と木というシンプルな素材に込められたサステナビリティの精神を、空間デザインとして昇華させたプロジェクトです。廃棄物ゼロを目指す設計、地域材の活用、リサイクル教育の仕組みなど、持続可能な展示の新たなスタンダードを提示しています。今後もこのような取り組みが広がることで、展示業界全体の環境意識がより一層高まることが期待されます。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Kodai Fukuchi
画像クレジット: Photographer : Akitoshi Kudo
プロジェクトチームのメンバー: Designer : Kodai Fukuchi Creative Director : Ryosuke Suzuki
プロジェクト名: Paper and Wood
プロジェクトのクライアント: Hakuten Corporation


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