「陳雲」は、杭州の著名なアートインキュベーター「天目里」に位置し、レンゾ・ピアノが手がけた建築の中に新たな価値を吹き込んでいます。天目里はアートセンターやショールーム、ライフスタイル施設が融合する複合空間であり、杭州の先進的な都市文化を象徴しています。ジャッキー・チャン率いるWARP WEFT DESIGNは、廈門に続く第二の拠点としてこの地を選び、都市間・文化間の架け橋となるプロジェクトを実現しました。
デザインの核となるのは、オフィス空間に求められる柔軟性と明快さです。従来の大規模で包括的なオフィスから、小規模で洗練された空間へとニーズが移行する中、「陳雲」はクリエイターの多様な働き方や生活様式に寄り添う設計を追求しています。可動式の壁や回転扉を活用し、空間の開閉や用途の変化に応じて、静謐な物語性を持つ空間体験を提供します。
素材選びにもこだわりが見られます。外観にはレンゾ・ピアノが設計した天目里の活気あるファサードに呼応し、内装では打ち放しコンクリートの素朴な質感を採用。インテリアの植栽や家具の色彩には自然の息吹を感じさせる工夫が施され、利用者の感情と共鳴する空間が創出されています。100平方メートルという限られた面積の中で、光や影、生活のリズムが織りなす豊かな表現が実現されています。
「陳雲」は、仕事・議論・休憩といった多様なシーンをシームレスに切り替えられるレイアウトを採用し、オフィスの枠を超えた新しいライフスタイルを提案しています。機能的な区切りを曖昧にすることで、空間の可能性を最大限に引き出し、クリエイティブなチームの思考や生き方に新たな解釈をもたらしています。
このプロジェクトは、2025年のA'デザインアワード(インテリアスペース、リテール&エキシビション部門)でシルバー賞を受賞。高度な技術力と芸術的な感性が高く評価されており、オフィスデザインの新たな指標として注目を集めています。
「陳雲」は、都市の文化的多様性と個人の美意識が交錯する現代において、働き方と空間のあり方を再定義する象徴的な存在です。今後もクリエイティブな働き方やライフスタイルを志向する人々に、刺激とインスピレーションを与え続けることでしょう。
プロジェクトデザイナー: Jacky Zhang
画像クレジット: Image #1: Photographer Lin Shikai, Chen Yun, 2023.
Image #2: Photographer Lin Shikai, Chen Yun, 2023.
Image #3: Photographer Lin Shikai, Chen Yun, 2023.
Image #4: Photographer Lin Shikai, Chen Yun, 2023.
Image #5: Photographer Lin Shikai, Chen Yun, 2023.
プロジェクトチームのメンバー: Jacky Zhang
プロジェクト名: Chen Yun
プロジェクトのクライアント: WARP WEFT DESIGN