愛知の魅力を伝える情報誌「Aisanka」デザインの革新性

伝統と現代性が融合した地域プロモーションの新しいかたち

「Aisanka」は、愛知県の伝統文化や産業、そして地域の誇りを国内外に発信するために生まれた情報誌です。1994年から1998年にかけて制作され、世界万博誘致を目指す愛知の魅力を、手描きイラストとともに多角的に紹介しました。デザイナー山月清香による表紙イラストは「祭り」をテーマに、地域の伝統と活気を鮮やかに表現しています。

「Aisanka」は、愛知県の文化や産業、伝統を再発見し、地域住民のみならず他県や海外の人々にもその魅力を伝えることを目的とした情報誌です。表紙には、古くから受け継がれる祭りをモチーフにした手描きイラストが採用され、愛知の活気や温かみ、誇りが視覚的に表現されています。山月清香は実際の祭りを直接体験することなく、映像資料からインスピレーションを受け、独自の視点で祭りの楽しさや華やかさを描き出しました。

この情報誌は、愛知県庁や各支所、他県にも配布され、地域の伝統文化や産業、特産品の魅力を広く紹介する役割を果たしました。年2回発行される18ページ構成の季刊誌で、地域の活性化や都市づくりへの参加を促すツールとしても機能しています。誌面では、手描きイラストの温もりと独自の色使いが読者の心を惹きつけ、愛知の祭りを訪れる人々に新たな発見をもたらしました。

制作過程では、実際に祭りを体験できないという制約がありながらも、山月清香は映像や資料を徹底的に研究し、リアルな臨場感と楽しさを伝えるイラストを完成させました。1996年には田原凧祭りのイラストを発表し、田原凧保存会から感謝状とミニ凧を贈られるなど、地域との交流も生まれました。このような取り組みは、地域文化の継承と発信に新たな可能性を示しています。

「Aisanka」は、愛知県が世界万博誘致に向けてグローバルな視点を持ちつつ、地域の伝統や個性を大切にしながら情報発信を行った点が高く評価されました。2025年にはA'デザインアワードのグラフィック・イラストレーション部門でシルバー賞を受賞し、優れた芸術性と技術力、そして地域愛に満ちたデザインとして国際的にも認められています。

愛知の伝統と現代性を融合させた「Aisanka」は、地域プロモーションの新たなモデルとして、今もなお多くの人々にインスピレーションを与え続けています。地域の魅力を再発見し、世界へ発信するためのデザインの力が、今後も多様な分野で活かされることが期待されます。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Kiyoka Yamazuki
画像クレジット: #162363:Illustrator/Kiyoka Yamazuki 1995 #1:Illustrator/Kiyoka Yamazuki 1995 #2:Illustrator/Kiyoka Yamazuki 1996 #3:Illustrator/Kiyoka Yamazuki 1998 #4:Illustrator/Kiyoka Yamazuki 1996
プロジェクトチームのメンバー: Kiyoka Yamazuki
プロジェクト名: Aisanka
プロジェクトのクライアント: Aichi Prefectural Government, General Affairs Department, Regional Affairs Division


Aisanka IMG #2
Aisanka IMG #3
Aisanka IMG #4
Aisanka IMG #5
Aisanka IMG #5

デザイン雑誌でさらに詳しく読む