「ローソンユナイテッドシネマズみなとみらい」は、商業施設「マークイズみなとみらい」内に位置し、駅直結という利便性と幅広い客層を意識した設計が特徴です。エントランス前には、誰もが気軽に最新音響技術「フレックスサウンド」を体験できるデモスペースが設けられ、映画館の枠を超えた体験型スポットとして注目を集めています。
最大の特徴は、世界で初めて全席に「フレックスサウンド・オーグメンテッドオーディオ」を導入した点です。フィンランド発のこの技術は、椅子のヘッドレストから直接音が伝わることで、まるで自分だけの音響空間に包まれるような没入感を実現。通常の映画館とは一線を画すクリアな音質と、ささやき声まで鮮明に感じられる体験が来場者を驚かせます。
既存の建物を活用したプロジェクトのため、設計には多くの制約がありました。特に、床面積の制限から映写室を各シアターに設けることができず、プロジェクターを客席通路上に露出させるという大胆な手法を採用。さらに、約1,000席分の椅子にフレックスサウンド用の配線を施すため、総延長10kmにも及ぶスピーカーケーブルの敷設が必要となりました。
館内デザインは、かつて地球の大自然を体験できるミュージアム施設だった劇場を再利用し、5.5メートルの吹き抜け空間や印象的な球体照明、鮮やかな縦型デザインの柱など、非日常感を演出。ロビーやラウンジには、外光を取り入れたリラックス空間も設けられ、来場者一人ひとりが自分らしい過ごし方を選べる多様性が追求されています。
横浜・みなとみらいエリアにはすでにIMAXや4DXを備えたシネコンが複数存在しますが、フレックスサウンドの導入によって、建築的な制約を逆手に取った唯一無二の映画体験を提供。2025年にはA'デザインアワードのブロンズ賞も受賞し、技術と創造性の両面で高い評価を獲得しています。
「ローソンユナイテッドシネマズみなとみらい」は、既存施設の再活用と最先端テクノロジーの融合によって、都市生活者に新たなエンターテインメントの価値を提案しています。今後も、映画館の枠を超えた体験型空間として、ライフスタイルに革新をもたらす存在となるでしょう。
プロジェクトデザイナー: Mitsuhiro Shinohara
画像クレジット: All Images: Toshiyuki Yano
プロジェクトチームのメンバー: Interior Designer: Kei Sagara
Architect: Hironobu Imamura
Mechanical and Electric: Nao Uda
Lighting Chief Designer: Shinji Yamaguchi
Lighting Designer: Yayoi Aota
Director: Kunihisa Akiyama
Project Manager: Mitsuhiro Shinohara
プロジェクト名: Lawson United Cinemas Minatomirai
プロジェクトのクライアント: Lawson United Cinemas, inc