「In Between Octaves」は、デザイナーのChe Yung Kungによる空間デザインが高く評価され、2025年のA'デザインアワードでブロンズ賞を受賞した。店内は74平方メートルの限られたスペースに、白と木目を基調とした落ち着きのある色彩が広がる。和の要素を随所に取り入れながらも、現代的な素材や照明を巧みに組み合わせ、伝統と革新が共存する独自の世界観を創出している。
空間の中心軸を貫くグリッド構成は、古き良き日本のラーメン屋台の雰囲気と、モダンなショッピングモールの直線的な構造を対比させる。手書きの書道ランタンが連なる様子は、まるで楽譜の音符のように外キッチンとダイニングエリアを縁取り、訪れる人々に視覚的なリズムを与えている。
オープンキッチンのバーカウンターやスライド式窓、木製トラスと間接照明、ステンレスメッシュや金属グリルなど、多様な素材とディテールが空間に奥行きをもたらす。壁面には長尺タイルとテクスチャーのある白い壁紙が組み合わされ、洗練された印象を強調。床から天井まで届くガラスやブランドロゴの照明も、現代的なアクセントとして機能している。
来店者は店内に足を踏み入れると、ラーメン職人の調理風景を間近で観察できる。麺を振るう音や活気ある掛け声が空間に響き渡り、食事の期待感を高める。厨房は内外でO字型の動線を形成し、調理から配膳、片付けまでがスムーズに行われる設計となっている。
このプロジェクトは、45日間という短期間での施工という課題を乗り越えて実現した。ラーメン店主の「一所懸命」に込めた精神や、天然素材にこだわったスープ作りへの情熱が、空間全体に息づいている。ゲストがラーメンやつけ麺を味わいながら、まるで美しいメロディーの中にいるような一体感を体験できるのが本デザインの最大の魅力である。
「In Between Octaves」は、食と空間、伝統と現代が響き合う新しいラーメン体験を提案し続けている。五感で味わうデザインの力が、日常に小さな感動をもたらす場として注目を集めている。
プロジェクトデザイナー: Che Yung Kung
画像クレジット: Che Yung Kung
プロジェクトチームのメンバー: Che Yung Kung
プロジェクト名: In Between Octaves
プロジェクトのクライアント: Synergy Collective Catering Ltd.