DCタワーの価値観を体感する没入型ブランド空間 Nexus

光とインタラクションで建築の精神を可視化する新拠点

ウィーンのランドマークであるDCタワー。その象徴的なファサードとともに、訪れる人々に建物の価値観を伝える新たな「感情の中心地」として誕生したのが、Responsive Spacesによるメディアインスタレーション「Nexus」です。ブランド体験を空間全体で表現するこのプロジェクトは、建築とテクノロジー、そしてデザインの融合によって、訪問者に忘れがたい体験を提供します。

オーストリアで最も高いビル、ウィーンのDCタワー。その地上階に新設された「Nexus」は、ブランドの価値観や精神を訪問者に伝えるための没入型空間として設計されました。Responsive Spacesは、建物の個性とダニューブ川へのオマージュをインスピレーション源に、空間そのものをブランド体験の舞台へと昇華させています。

このインスタレーションの最大の特徴は、光とデジタル情報、そしてインタラクティブな体験の融合です。48本のRGB LED照明と8つの特注ライトボックスが、色彩とパターンで空間をダイナミックに演出。75インチディスプレイとiPadによる操作で、訪問者自身がテーマを選択し、ブランドのコアバリューを能動的に体験できます。ガイドツアーの出発点としても機能し、訪れるたびに新たな発見をもたらします。

設計上の大きな挑戦は、既存のエレベーター裏側という制約されたスペースを活用しながら、印象的なブランド空間を創出することでした。Responsive Spacesは、48メートルに及ぶ制御可能なLEDライトを用いたライトボックスで壁面を再構築。これにより、限られた空間でも感情を揺さぶる没入感を実現しています。デジタルディスプレイと連動した光の演出が、情報と感覚の両面からブランドの世界観を伝えます。

約3メートル×12メートルの空間は、単なる通路やロビーではなく、「休息」「つながり」「再発見」の場として設計されています。デジタルコンテンツ、サウンド、光が一体となり、訪問者を建築の“魂”へと導く体験型ブランドスペースです。Responsive Spacesのチームは、クリエイティブリードのMarkus Pargfrieder氏を中心に、モーションデザインやプログラミング、プリントデザインなど多様な専門家が集結し、プロジェクトを成功に導きました。

2023年10月から2024年4月にかけて実現したこのプロジェクトは、A' Design AwardのIron賞を受賞。業界のベストプラクティスと革新性を兼ね備え、テナントや訪問者にポジティブな感情と新たな価値を提供しています。Nexusは、都市のランドマークに新たな命を吹き込む、現代的なブランド空間の好例と言えるでしょう。

建築、デザイン、テクノロジーが融合したNexusは、今後のブランド体験空間のあり方に一石を投じています。訪れる人々が自らの感覚で価値観を発見し、建物と深くつながるこの場所は、ウィーンの新たな名所となる可能性を秘めています。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Responsive Spaces
画像クレジット: Image #No 1: Photographer: Florian Voggeneder Image #No 2: Photographer: Florian Voggeneder Image #No 3: Photographer: Florian Voggeneder Image #No 4: Photographer: Florian Voggeneder Image #No 5: Photographer: Florian Voggeneder Video (Link): Video & Audio: das narrativ
プロジェクトチームのメンバー: Creative Lead: Markus Pargfrieder Design Lead: Julian Reil Motion Design: Christian Renner Print Design: Nathalie Kronberger Development/Programming: Julian Reil
プロジェクト名: Nexus
プロジェクトのクライアント: DC Tower


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