アートと味覚が融合するアヴァンドのパティスリーデザイン

芸術的表現と幸福体験を叶えるパッケージングの革新

イスタンブール発、マスード・ナジャフィ・アミルキアサルによる「アヴァンド」は、パティスリーの枠を超えた芸術的な体験を提供するブランドとして注目を集めている。絵画やブラシの表現から着想を得たこのデザインは、手作りのスイーツとパッケージングを通じて、消費者の心に幸福と印象深い余韻を残すことを目指している。

「アヴァンド」は、カフェとパティスリーの豊かな経験を背景に、イスタンブールで誕生した。ブランドの核となるのは、アートと味覚体験の融合だ。各スイーツは職人の手で一つひとつ丁寧に作られ、まるでキャンバスに描かれた絵画のような美しさを持つ。色彩豊かなブラシストロークや自由なフォルムが、従来のパティスリーにはない独自の世界観を生み出している。

このデザインの最大の特徴は、手作業による芸術的なアプローチと、デジタルアートを組み合わせたパッケージングにある。パッケージは深いグリーンとゴールドを基調とし、ブランドのアイデンティティを強く印象付ける。ケーキボックスやクッキーボックス、ペーパーカップなど、用途に応じたサイズ展開も細やかに設計されている(例:ケーキボックス1は幅110mm×奥行105mm×高さ105mm)。

制作過程では、素材の選定から美しさへのこだわり、透明性のある製造プロセスまで、細部にわたる配慮がなされている。ブランドの背景調査では、創業者や顧客へのインタビューを通じて、「幸福をもたらすスイーツ体験」というコンセプトが明確化された。アヴァンドは、日常では得がたい幸福感を、パティスリーを通じて社会に提供する役割を担っている。

プロジェクトの最大の課題は、ブランドの動的なアイデンティティを受け入れるための創業者の説得と、それに伴う生産規模の拡大、さらには消費者への新しい体験の受容性だった。従来の枠にとらわれないデザインは、投資や認知の面で高いハードルとなったが、最終的には独自性と革新性が評価され、2025年のA'パッケージデザイン賞「Iron」を受賞している。

アヴァンドのデザインは、芸術的な手法と味覚体験を融合させることで、単なるスイーツブランドを超えた新たなライフスタイルの提案となっている。今後も、パティスリーの可能性を広げるイノベーションとして、業界内外から注目が集まるだろう。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Masoud Najafi Amirkiasar
画像クレジット: Designer: Masoud Najafi. Strategist: Nima Saade
プロジェクトチームのメンバー: Masoud Najafi Amirkiasar
プロジェクト名: Avand
プロジェクトのクライアント: Avand Pastry


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