メヘラギン・ラフマティによる「Queen of Lake」は、単なるジュエリーの枠を超えた芸術作品です。モネが晩年に視覚障害を抱えながらも、紫色の湖や白い睡蓮を鮮やかに描いた革新的な色使いに着想を得て、18金イエローゴールドと南洋真珠、ダイヤモンド、タンザナイトを組み合わせたデザインが誕生しました。モネの精神を現代のファインジュエリーに落とし込むことで、見る者に驚きと感動をもたらします。
このリングの最大の特徴は、指輪としてだけでなく、ペンダントやブローチとしても使用できる多機能性にあります。裏面に施された繊細な機構により、簡単かつ安全に形を変えることが可能です。各面は手作業で丁寧に仕上げられ、背面にもタンザナイトがあしらわれています。大ぶりなサイズながら、装着時の快適さも追求されています。
制作には高度なクラフトマンシップが求められました。花びらの曲げ加工や石留めはほぼ手作業で行われ、80石のFカラー・VVSクラリティのダイヤモンドと、21石のラウンド・トリリアント・オーバルカットのタンザナイトが贅沢に使用されています。小さなパーツには鋳造技術を用い、パヴェセッティングやグレインセッティングなど、複数の石留め技法が駆使されています。
デザインの研究段階では、快適性と多用途性を両立するために構造の工夫が重ねられました。特に、ペンダントからリング、ブローチへの変形機構は安全性と美しさの両立が求められ、何度も試作と改良が行われました。宝石選定においても、モネの「睡蓮」シリーズの色彩を忠実に再現するため、タンザナイトやピンクパールが選ばれています。
「Queen of Lake」は、2025年にA'デザインアワードのジュエリーデザイン部門でシルバー賞を受賞しました。この受賞は、卓越した技術力と芸術性、そしてイノベーションを兼ね備えたデザインであることが高く評価された証です。芸術と機能性を融合したこのジュエリーは、現代のライフスタイルに新たな価値観をもたらしています。
「Queen of Lake」は、単なる装飾品ではなく、身に着けることでモネの芸術的精神や革新性を感じられる存在です。芸術と日常をつなぐこのジュエリーは、今後のファインジュエリーの在り方に新たな指標を示しています。
プロジェクトデザイナー: Mehragin Rahmati
画像クレジット: Mehragin Rahmati ,Queen of lake ,2024
プロジェクトチームのメンバー: Mehragin Rahmati
プロジェクト名: Queen of Lake
プロジェクトのクライアント: Mergin Jewlery