クラシカルと現代が融合する紳士のための住空間

父子の想いを織り込んだエレガントなレジデンスデザイン

この住空間は、父親が息子のために用意した未来の住まいであり、現在は来客をもてなすレセプションスペースとしても機能しています。デザイナーのTzu Lung Liaoは、バロック様式の優雅なラインとトーテムを基調に、黒・グレー・白のモノトーンをベースにした上質な雰囲気を演出。細部に至るまでこだわり抜かれたディテールが、紳士の品格を空間全体に漂わせています。

特徴的なのは、クラシカルな意匠を現代的な素材で再解釈している点です。ミラーやガラス、アイアンを巧みに取り入れることで、重厚感と軽やかさが共存し、若々しいエネルギーも感じられます。バロック調のスレッドパネルやインレイガラスがリビングを彩り、エントランスには黒と白のフラワートーテムのモザイクタイルが敷かれ、訪れる人を優雅に迎え入れます。

リビングルームのテレビウォールにはラグジュアリーストーンが採用され、その石目にはレオパード柄が現れるというユニークな特徴があります。このディテールはオーナーの心を掴み、空間に力強い存在感を与えています。また、構造梁による圧迫感を軽減するため、木目とミラーのコラージュで視覚的な広がりを持たせ、間接照明でリビングとダイニングを緩やかにゾーニングしています。

各エリアにはコレクションやディスプレイ用のキャビネットが設けられ、オーナーの趣味やライフスタイルに寄り添う設計がなされています。ベッドルームではトーテム柄の壁紙が柔らかな雰囲気を演出し、収納機能も充実。プライベートとパブリックの両面で、使い勝手と美しさを両立しています。

本プロジェクトは2021年1月に着工し、同年4月に完成。A' Design Award 2025年インテリアスペース部門でブロンズ賞を受賞しています。審査員からは、芸術性・技術力・生活の質向上への貢献が高く評価されました。

「Exquisite Gentleman」は、クラシカルと現代が調和した新しいレジデンスの在り方を示しています。空間に込められた家族の想いと、細部まで行き届いたデザインが、日常を豊かに彩ります。今後の住宅デザインの新たな指針となることでしょう。