石の質感が生む現代的住空間、Stone Dialogueの革新

自然素材と機能美が融合した台湾の住宅リノベーション

台湾のデザイナー、Ya Hsuan Chiangによる「Stone Dialogue」は、限られた空間を最大限に活かし、石材とアートペイントの質感を巧みに取り入れた住宅リノベーションで、現代的かつ温かみのある暮らしを提案している。

「Stone Dialogue」は、若い夫婦のために設計された54平方メートルの住宅リノベーションプロジェクトである。オーナーが好むモダンなヒューマニスティックスタイルを基調とし、石材の自然な質感とアートペイントを融合させて、まるで岩板のような表情豊かな壁面を実現している。空間全体のシンプルさと一貫性が、収納機能の巧みな配置と相まって、実際以上の広がりを感じさせる。

左側の壁には、岩板を模した斑模様のアートペイントとステンレスプレートを組み合わせ、荒々しい造形美を演出しながら電気ボックスを巧妙に隠している。テレビ壁の両側にある構造柱は、片側に木材突板、もう片側に石材を施し、左側はアールを描くデザインと間接照明を組み合わせている。右側の石材は展示スペースへと自然に延長され、空間に奥行きをもたらす。

素材選びにもこだわりが見られる。ロックパネルや圧縮石、鉄材などの自然素材に加え、ウォールナットやエルムといった無垢材の樹皮を採用。山並みを思わせる自然な形状が、現代的な住空間に温もりと個性を添えている。ソファ背面の壁はグレーを基調とし、キッチンや隠し扉にはミルクティーカラーを用いることで、控えめで落ち着いた雰囲気を演出している。

限られたスペースを最大限に活かすため、リビングとキッチンを一体化したオープンプランを採用。家族の交流を促進し、将来的なライフスタイルの変化にも柔軟に対応できる設計となっている。収納は玄関からテレビ壁までの動線上に集約され、空間のスケール感を損なうことなく、機能性と美しさを両立させている。

施工面では、特大の石材パネルをエレベーターで運べないという課題に直面したが、100kgずつ4分割して搬入し、構造柱と天井にしっかりと固定することで安全性とデザイン性を両立。天井には白を基調とした曲線を取り入れ、梁や柱の存在感を和らげつつ、空間全体の調和と一体感を高めている。

このプロジェクトは、2025年のA' Design Award(インテリアスペース、リテール&エキシビション部門)でIron賞を受賞。業界のベストプラクティスと高い技術力を評価され、実用性と革新性を兼ね備えた住空間として高く評価された。

「Stone Dialogue」は、自然素材の美しさと現代的な機能美を融合させ、限られた空間でも豊かな暮らしを実現する住まいの新たな可能性を示している。今後の住宅デザインにおいても、こうした素材と空間の対話がさらなる革新を生み出すだろう。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Ya Hsuan Chiang
画像クレジット: Ya Hsuan Chiang
プロジェクトチームのメンバー: Ya Hsuan Chiang
プロジェクト名: Stone Dialogue
プロジェクトのクライアント: ZOI Design


Stone Dialogue IMG #2
Stone Dialogue IMG #3
Stone Dialogue IMG #4
Stone Dialogue IMG #5
Stone Dialogue IMG #5

デザイン雑誌でさらに詳しく読む