「Rococo Memory」は、150平方メートルの築年数を重ねた3LDKマンションを舞台に、オーナーの豊かな海外経験と美意識を反映したリノベーションプロジェクトである。設計を手がけたChung Ting Wangは、オーナーが客室乗務員として世界各地のヨーロッパ建築に触れてきた経験をもとに、バロックやロココの華やかさを現代的なインテリアに落とし込んだ。
玄関やリビングには、エレガントなモールディングや異国情緒あふれるタイル、花柄の壁紙が配され、リゾートホテルのような非日常感と家庭的な親しみやすさが共存している。特に、シンメトリーな暖炉型テレビウォールや、金箔をベースにしたソファ背面の壁画は、空間全体にヨーロッパ王室のような壮麗さをもたらしている。
このプロジェクトの大きな特徴は、家族の感情や記憶を空間に織り込むアートワークである。リビングの壁には、手描きの花鳥画が施され、4羽の鳥が家族の絆や感情を象徴する。さらに、光の届きにくい廊下は、オーナーが海外で収集したアート作品を展示するギャラリーとして再生され、東洋的な花鳥画が家族の温かな団欒を表現している。
キッチンとダイニングは、もともと閉鎖的だった間取りをオープンに再構成し、家族のコミュニケーションが自然と生まれる空間へと変貌。壁の仕切りを取り払い、開放的なキッチンと書斎を新設することで、三世代が集う家族の交流を促進している。
設計にあたっては、梁や柱による圧迫感を対称配置の収納で緩和し、金や銀を基調とした色彩計画で、豪華さと温もりのバランスを追求。ヨーロッパ建築文化とロココ様式の融合、色彩とアートの調和が、唯一無二の住空間を実現している。
「Rococo Memory」は、パンデミック期にオーナーが幼少期の家を三世代で共有する場として再定義したプロジェクトであり、芸術性と家族の絆を両立させた住まいの新たな可能性を示している。Chung Ting Wangの手によるこの空間は、日常に美と感動をもたらす住まいの在り方を体現し、今後の住宅デザインに新たなインスピレーションを与えている。
プロジェクトデザイナー: Chung Ting Wang
画像クレジット: Chung Ting Wang
プロジェクトチームのメンバー: Chung Ting Wang
プロジェクト名: Rococo Memory
プロジェクトのクライアント: Modern Elegant House & CO.