曲線美と静寂が融合する女性専用ピラティス空間「Impulse」

ワビサビ美学がもたらす心地よさと機能性の新提案

台湾で完成した「Impulse」は、Yi Ning Loが手がけた女性専用ピラティススペース。曲線と自然素材を活かし、静けさと温かみを感じさせるワビサビスタイルが特徴です。落ち着きとリラクゼーションを核に、機能性と美しさを両立させた空間は、現代女性のライフスタイルに新たな価値を提案します。

「Impulse」は、165.2平方メートルの敷地にカウンター、交渉エリア、更衣室、運動エリア、ラウンジを備えた女性専用ピラティス空間です。設計の核となるのは、曲線を多用したワビサビスタイル。天井のカーテンや会話エリアの曲線、さらに不規則なミラーやシャンデリアなど、空間全体に柔らかな女性らしさと流動感が表現されています。木材やアースカラーのパレットが、穏やかで温かみのある雰囲気を醸し出し、訪れる人々に安らぎを与えます。

デザインの特徴は、自然光を最大限に活かした明るく快適な運動空間。三方向から差し込む光が、グリルスクリーンや空間タイルによって巧みに拡散され、更衣室エリアの通気性と快適さも確保されています。細いストライプのタイルやカーテンなど、繊細なアクセサリーを加えることで、ファッション性と写真映えするスポットとしての魅力も高められています。

施工面では、壁面にセメント塗料や石調のアースコーティングを施し、質感と色彩表現を強調。PU石材ベニヤやPVCフローリング、グリル、ドレープカーテンなどを用いて、細部までこだわり抜かれた仕上がりが実現されています。カウンター背面のアースペイントや柱の石材ベニヤは、塗装との調和で空間全体の統一感を高めています。

プライバシーへの配慮も徹底されており、交渉エリアと運動エリアを明確に分離。入口付近の交渉エリアには半曲線のパーティションを設け、落ち着いた対話が可能です。運動エリアは自然光がたっぷりと差し込む配置で、グリルスクリーンによって窓際のラウンジスペースが生まれ、柔軟な使い方が可能となっています。

最大の課題は、曲線壁とタイルの施工精度でした。曲線は図面や言葉で表現しにくく、熟練した職人による丁寧な施工が求められました。小さなタイルを隙間なく貼り合わせることで、空間全体の調和と美しさが保たれています。Yi Ning Loの細やかな計画とオーナーの要望の理解が、機能性と美しさを兼ね備えた空間を実現しました。

「Impulse」は、2025年A' Design Awardインテリアスペース部門でブロンズ賞を受賞。芸術性、技術力、創造性を兼ね備え、生活の質向上に寄与するデザインとして高く評価されています。静けさとパワーが共存するこの空間は、身体と心の対話を促し、訪れる女性たちに新たな美の体験を提供します。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Yi-Ning Lo
画像クレジット: 10CM Interior Design
プロジェクトチームのメンバー: Yi-Ning Lo
プロジェクト名: Impulse
プロジェクトのクライアント: 10CM Interior Design


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