伝統知と現代性が融合する革新的カレンダー「Syn」

非電化構造で時間を再発見する立体型ユニバーサルカレンダー

ロサンゼルス発のデザインプロジェクト「Syn」は、伝統的な知恵と現代的なライフスタイルを融合し、デジタル依存から解放された新しい時間管理体験を提案する。2025年のA' Design Awardでシルバーを受賞したこのプロダクトは、非電化の立体構造と独自のインタラクションで、カレンダーの概念に革新をもたらしている。

Jia Sheng ChenとForenext Design Teamによる「Syn」は、Lo-Tekデザイン哲学に着想を得て誕生した。Lo-Tekとは、伝統的な技術や知識を現代に活かす設計思想を指し、Synはまさにその精神を体現している。従来のカレンダーが持つ月や日のパターンの制約を超え、どの月や日にも柔軟に対応できるユニバーサルな構造を実現した点が特徴だ。

本体はレーザーカットされたアクリルやガラス製のポインター、アルミニウムのCNCフレーム、ラバーガスケット、金属製ロッド、プラスチック製キーなど、異素材を巧みに組み合わせて構成されている。幅300mm、奥行130mm、高さ418mmという存在感あるサイズ感も、インテリアとしての美しさと機能性を両立させている。

操作方法は時計のように直感的。複数のポインターを手動で切り替えることで日付やイベントを設定でき、フレームに刻まれた目盛りが時間帯を示す。多色使いのピンやマークにより、予定やタスクの識別も容易だ。デジタルアプリに頼らず、物理的な操作を通じて時間と向き合う体験が、現代人の生活に新たなリズムをもたらす。

デザインの根底には、「人間のデジタル製品への依存を見つめ直し、非電化構造で独自の体験を創出する」という明確な意図がある。伝統知のリサーチを重ね、現代のニーズに応じた新しいカレンダーの形を模索した結果、Synは単なるスケジューラーを超え、日常の中で時間を再発見するためのオブジェとなった。

このプロジェクトは2024年1月に始動し、同年6月にロサンゼルスで完成。インターネット上で発表されると、ユニークな構造とインタラクションが高く評価され、A' Design Awardのシルバー受賞へとつながった。審査員からは「卓越した技術力と芸術性、そして驚きと感動をもたらす革新性」が称賛されている。

「Syn」は、アナログとデジタルの狭間で揺れる現代人に、時間との新しい関係性を提案する。日々の予定管理を超え、生活の質を高めるデザインオブジェとして、今後のカレンダーのあり方に一石を投じている。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Johnny Jiasheng Chen
画像クレジット: All content created by Forenext Design Studio
プロジェクトチームのメンバー: Forenext Design Team
プロジェクト名: Syn
プロジェクトのクライアント: Forenext Design


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