「Flutter Chapters」は、若い夫婦の新生活をテーマに、空間そのものが新たな章の始まりを象徴しています。ソファ背面の壁は「ページをめくる」ようなデザインで、角を切り取ることで動きを生み出し、日常の一瞬一瞬が物語の一ページとなる感覚を演出しています。円形の壁やドアフレームは、ワビサビの精神を反映し、洞窟のような安心感を与えています。
この住まいは、もともと4部屋だった間取りを3部屋に変更し、1室をドレッシングルームとして主寝室を拡張。キッチンアイランドをダイニングテーブルの代わりに設置することで、機能性と柔軟性を両立させました。キッチンアイランドは、日常の食事やコーヒータイムだけでなく、友人を招いた集いの場としても活躍し、住まう人々のライフスタイルに寄り添っています。
素材には無垢材の突板や木工キャビネット、マットな特殊塗装のフローリングを採用。ミルキーブラウンの壁や木製家具が、柔らかく自然な雰囲気を醸し出し、ベージュやライトブラウンの色調が空間全体に調和と落ち着きをもたらしています。これらの自然素材とアースカラーが、心地よさと温もりを空間に満たしています。
デザインの主軸は、実用性と美しさのバランスにあります。例えば、浴室は配管の再配置や間取りの調整によって広々とした快適な空間に生まれ変わり、夫婦が一緒にリラックスできるバスタブも設けられています。主寝室、ドレッシングルーム、浴室がスムーズにつながる動線設計は、日々の暮らしに利便性と快適性をもたらしています。
ワビサビの表現には幅広い解釈が求められ、蔡俊安は「過度に芸術的になりすぎず、生活空間としての実用性を損なわない」絶妙なバランスを追求しました。繰り返しのコミュニケーションと調整を重ね、住まう人の長期的なニーズに応える空間を実現しています。
「Flutter Chapters」は、家族の思い出が積み重なる「日記」のような場所。毎朝差し込む陽光が新しい記憶の始まりを告げ、温かなアースカラーが日常の親密なひとときを包み込みます。2025年にはA' Design Awardのブロンズ賞を受賞し、アートとテクノロジー、デザインのベストプラクティスを体現した住空間として高く評価されています。
新しい章を迎える住まいのあり方を提案する「Flutter Chapters」は、機能美と心地よさを兼ね備えた現代の理想的な住空間の一例と言えるでしょう。
プロジェクトデザイナー: Tsai's Design
画像クレジット: Tsai's Design
プロジェクトチームのメンバー: Chun-An Tsai,Hao-Syuan Jheng
プロジェクト名: Flutter Chapters
プロジェクトのクライアント: Tsai's Design