「Belonging」は、台湾に位置する512平方メートルの住宅で、三世代が共に生活するために設計された。デザイナーのLo Fang Mingは、東洋の家族が世代を超えて成長し、つながっていく様子をグリッド状の直線的な要素で象徴。これらの格子は、1階から上階へと連続し、空間の境界や収納、ディスプレイの役割を果たす。ミラー素材の天井が光を反射し、天井の低さという制約を巧みに解消している。
この住宅の最大の特徴は、限られたスペースを最大限に活用しながら、家族の交流と個々のプライバシーを両立させている点にある。グリッドの木格子と照明ライン、ミラーの映り込みが視界と高さの広がりを生み出し、自然光を最大限に取り入れる設計が施されている。これにより、住まい手同士のコミュニケーションが促進され、家族の絆がより強固なものとなる。
各世代のライフスタイルや習慣に合わせて、グリッドはプライベートスペースごとに異なる機能を持つ。例えば、収納やディスプレイ、空間の仕切りとしてだけでなく、有機的に家族の日常をつなぐ役割も担う。トップフロアにはエンターテインメント機能を備えた集いの場や、屋外テラスが設けられ、自然を感じながらリラックスできる空間が広がる。
設計の過程では、細長い間取りや低い天井、複数のダイニングスペースの確保といった課題があった。Lo Fang Mingは、空間の開放性と独立性、快適な動線、豊かな採光を同時に実現するため、グリッドとミラーを巧みに組み合わせた。これにより、家族がそれぞれの場所で過ごしながらも、自然に交流できる住環境が生まれている。
「Belonging」は2025年、A' Interior Space, Retail and Exhibition Design Awardでブロンズ賞を受賞。アート、サイエンス、デザイン、テクノロジーのベストプラクティスを融合し、生活の質を向上させる創造性と技術力が高く評価された。
世代を超えて受け継がれる家族の絆と、現代的な美意識が見事に調和したこの住宅は、都市型ライフスタイルにおける新たな家族のあり方を提案している。今後の住宅デザインにおいて、空間の制約を超えたつながりと快適性の両立が、ますます重要なテーマとなるだろう。
プロジェクトデザイナー: Lo Fang Ming
画像クレジット: Lo Fang Ming
プロジェクトチームのメンバー: Lo Fang Ming
プロジェクト名: Belonging
プロジェクトのクライアント: Dreamer Interior Design