ペイマン・ハシェミ氏とカイハン・トゥラン氏によって設計された「Humv」は、軍用車両の象徴であるハンヴィーの外観と機能性を、エンジンオイル容器に巧みに落とし込んでいます。大胆な角張ったフォルム、強化されたグリップ、そして耐衝撃性を高めたシェル構造が、パワーとコントロール、産業効率を体現しています。
この容器の最大の特徴は、90%リサイクル高密度ポリエチレン(HDPE)を使用し、従来比20%の軽量化を実現している点です。有限要素解析による設計最適化により、耐衝撃性を15%向上させつつ、重量を抑えています。さらに、エンボス加工によるブランドロゴの採用で、ラベル廃止によるリサイクル性の向上と廃棄物削減も達成しています。
「Humv」は1リットル、5リットル、20リットルの3サイズ展開。特に5リットルモデルは、幅237.95mm、奥行98.63mm、高さ291.61mmと、現場での扱いやすさと積載効率を両立。2.2メートルの落下試験にも合格し、50度の高温下で131.4kgの荷重に耐えるなど、過酷な環境下でも信頼性を発揮します。
グリップ部分は「アーマードグリップシステム」と呼ばれ、滑りにくく、長時間の作業でも疲労を軽減。積み重ね可能な設計により、保管や輸送時のスペース効率も向上しています。エルゴノミクス(人間工学)に基づく設計で、グリップ性能は従来比30%アップしています。
開発は2023年3月にイスタンブールでスタートし、2024年2月に完成。構造工学の研究や複数回のプロトタイプ製作、現場テストを経て、サステナビリティ・耐久性・操作性のすべてを高次元で両立した製品となりました。2025年にはA'デザインアワード・ブロンズ賞を受賞し、産業用パッケージデザインの新たな基準を打ち立てています。
「Humv」は、環境配慮と高性能を両立した次世代のエンジンオイル容器として、今後の産業パッケージデザインに大きな影響を与える存在です。持続可能な社会の実現に向け、機能美と技術革新を追求するデザインの力が、現場の品質向上と環境負荷低減の両立を可能にしています。
プロジェクトデザイナー: Peyman Hashemi
画像クレジット: All Images are taken by Kayhan Turan
プロジェクトチームのメンバー: Co-Designer: Kayhan Turan
プロジェクト名: Humv
プロジェクトのクライアント: Queen Pack Design