ノルウェーの海辺を映す「Tjeld」バーの革新デザイン

自然と機能美が融合したサステナブルな空間体験

オスロのウォーターフロントに誕生した「Tjeld」バーは、ノルウェーの美しい海岸線と象徴的な鳥「チルド(ミヤコドリ)」から着想を得た空間デザインで、現代的なライフスタイルと地域文化を見事に融合させている。

「Tjeld」バーは、デザイナーのJulia Filippovaによる、自然と都市の調和を体現したインテリアプロジェクトである。ノルウェーの海岸に生息するミヤコドリの鮮やかな色彩や曲線美を、マーブルや木材、光沢のある金属などの自然素材で表現。店内の滑らかなラインは貝殻やオイスターの形状を想起させ、赤い柱はミヤコドリのくちばしを象徴している。

このバーの最大の特徴は、サステナブルな素材選びにある。壁や天井には、未焼成の粘土と鉱物、川砂、ハーブを混ぜた独自のクレイプラスター「EON Clay Plaster」を採用。これらは低VOC(揮発性有機化合物)で無毒、合成物やコンクリート、石灰を含まず、製造時のエネルギー消費や廃棄物も最小限に抑えられている。さらに、音響パネルにはリサイクル素材や亜麻・麻などの植物繊維を用いたバイオコンポジットが活用されている。

空間設計では、バーの中央にカウンターを配置することで、スタッフとゲストのコミュニケーションを促進。各テーブルへの目配りが容易になり、サービスの質が向上している。食器洗浄室のドアは膝下センサーで自動開閉し、スタッフの動線も工夫されている。スタッフルームは目立たない隠し扉の奥に設けられ、機能性と美観の両立を実現した。

このプロジェクトは、Tjuvholmen地区というオスロのウォーターフロントの現代建築と、ミヤコドリの象徴性を融合させるため、ビジュアル分析や文化・環境リサーチを徹底。地元の歴史や自然環境を反映しつつ、持続可能な素材と現代的なデザインを組み合わせた。研究の成果は、地域性と物語性を空間に取り込むことで、単なる飲食の場を超えた体験を生み出している。

設計上の課題としては、中央にあった構造柱の活用と、動線設計の工夫が挙げられる。柱をバーの中心に据え、カウンターを囲むことで、空間の一体感と機能性を両立。全体面積90㎡、ゲストスペース63㎡で40席を確保し、快適な滞在を実現している。

「Tjeld」バーは、2025年にA' Design Awardのインテリアスペース部門でシルバー賞を受賞。卓越した技術力と芸術性、サステナビリティへの配慮が高く評価されている。自然と都市、歴史と現代性が交差するこの空間は、地域のアイデンティティと持続可能な未来を体験できる新たなライフスタイルの提案となっている。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Julia Filippova
画像クレジット: Image #1: Photographer Kevin Fauske, Tjeld bar, 2024 Image #2: Photographer Kevin Fauske, Tjeld bar, 2024 Image #3: Photographer Kevin Fauske, Tjeld bar, 2024 Image #4: Photographer Kevin Fauske, Tjeld bar, 2024 Image #5: Photographer Kevin Fauske, Tjeld bar, 2024
プロジェクトチームのメンバー: Julia Filippova
プロジェクト名: Tjeld
プロジェクトのクライアント: Julia Filippova Design


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