円環が生む新たな出会い、モーリシャス・クラブハウスの革新

ランドスケープと共生する円形建築がもたらすライフスタイルの進化

ナイジェリア・アブジャの高級住宅地に誕生する「モーリシャス・クラブハウス」は、建築家マルセロ・ロドリゲス・ポンスによる独創的な円形デザインで、自然と人、文化とテクノロジーを融合した新しいコミュニティの象徴として注目を集めています。

モーリシャス・クラブハウスは、ゴルフコースのサービス棟と野外文化イベントの会場という二つの機能を一体化させた円環型建築です。設計の起点は、敷地を流れる水路を挟んで配置された二棟を、屋上レベルの歩行者用ブリッジとテラスで繋ぐという発想にあります。この「つながりのリング」は、住民や来訪者が自然と集い、交流する場として機能します。

建物は敷地の地形を活かし、半地下構造を採用。これにより、周囲の景観と調和しつつ、プライバシーを確保しながらも象徴的な存在感を放ちます。円形のフォルムは、上空からの眺望だけでなく、開放的なテラスやアクティビティスペースとしても活用され、開発全体のランドマークとなっています。

サステナビリティへの配慮も随所に見られます。東向きの建物は地中の冷気を利用して快適な室温を実現し、西側の芝生の円形劇場は、座り心地と眩しさを抑えた設計です。外装には白色の打ち放しコンクリートとガラスを組み合わせ、木材や金属の特注家具が空間に温かみと個性を加えています。

技術面では、電気自動車用のプラグインサービスやリサイクル素材の活用など、未来志向の都市づくりを意識した要素が随所に取り入れられています。プロジェクト全体の敷地面積は43,000㎡、建築面積はわずか8%に抑えられ、自然環境との共生を重視した設計思想が貫かれています。

設計過程では、米国セントルイスのゲートウェイ博物館やドイツのシュトゥットガルト市民・メディアセンターなど、同様の円形建築の研究を重ね、機能性と柔軟性、そして現代的な美しさを追求。地元当局の景観規制とクライアントの象徴性への要望を両立させるため、半地下構造と360度の眺望を実現しています。

このプロジェクトは2025年、A'デザインアワードの建築部門でアイアン賞を受賞。産業界のベストプラクティスと技術的な優秀性を兼ね備えた実用的かつ革新的な建築として高く評価されました。モーリシャス・クラブハウスは、アート、建築、サステナビリティ、テクノロジーが融合する未来志向のライフスタイルを体現する新たなランドマークとなるでしょう。

都市と自然、文化とコミュニティをつなぐ円環の建築は、今後の都市型ライフスタイルの新しい指標として、さらなる注目を集めることが期待されています。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Marcello Rodriguez Pons
画像クレジット: All images copyright: Rodriguez Pons / Architects
プロジェクトチームのメンバー: Marcello Rodriguez Pons
プロジェクト名: Mauritius Clubhouse
プロジェクトのクライアント: Rodriguez Pons Architects


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