Yu Chun Huang氏率いるデザインチームが開発した「ARID」は、AR(拡張現実)とVR(仮想現実)を融合させたインテリアデザインアプリケーションである。従来の2D CADや3Dシミュレーションでは再現しきれなかった、現実空間とバーチャル素材のリアルタイム合成を実現。ユーザーはヘッドセットを装着し、手のジェスチャーだけで壁や床、天井の素材や色を瞬時に切り替え、家具の配置まで自在に操作できる。
ARIDの大きな特徴は、Meta社のQuest 3とUnityプラットフォームを活用した高度な空間認識技術にある。部屋のスキャンによって壁や天井、床の位置を正確に把握し、そこにバーチャルな素材や家具を重ねることで、現実の空間に違和感なくデザインを反映。さらに、自然光の取り込みや透明素材の表現も可能となり、物理サンプルに頼らずとも完成イメージを鮮明に体験できる。
操作性にも革新が見られる。ユーザーは左手のコントローラーに浮かぶUIを操作し、右手の直感的なジェスチャーで素材や家具を選択・配置。例えば、壁の色を変えたり、タイルを貼り替えたり、家具の位置や角度を「つかむ」「ピンチする」といった動作で調整できる。これにより、設計の専門知識がなくても誰もが簡単に理想の空間をシミュレーションできる。
ARIDの開発背景には、従来のCADやスマートフォンARアプリの限界がある。小さな画面や2D表示では、実際の空間での素材や色の印象を十分に把握できない。ARIDは、VRの没入感とARの現実連携を組み合わせることで、素材や色の変化が空間全体にどのような影響を与えるかをリアルに体感できる点が評価されている。
このイノベーションは、2025年のA'デザインアワード(インターフェース・ユーザーエクスペリエンス部門)でブロンズ賞を受賞。審査員からは「技術と創造性を融合し、生活の質向上に寄与する優れたデザイン」と高く評価された。今後、住宅リノベーションやインテリア業界におけるデザイン体験の新しいスタンダードとなる可能性が期待されている。
ARIDは、リモデリングのプロセスをより直感的かつ楽しいものに変えることで、ユーザーの創造性を引き出し、理想の住空間づくりをサポートする。AR/VR技術の進化がもたらすデザインの未来に、さらなる注目が集まっている。
プロジェクトデザイナー: Yu-Chun Huang
画像クレジット: Yu-Chun Huang
プロジェクトチームのメンバー: Jiayi Xu
Zhoucai Ni
プロジェクト名: Augmented Reality Interior Design
プロジェクトのクライアント: Y. C. Huang Design