東京アパートメント:新たなコミュニティを育む住空間

ホテルラウンジの開放感と共生を実現した集合住宅

東京の都市生活に新しい風を吹き込む「Tokyo Apartment」は、コロナ禍を経て変化した人々の価値観に応える集合住宅です。設計者のオマメウダワタル氏とハヤシヒロコ氏は、ホテルラウンジのゾーニングから着想を得て、住民同士が自然に交流できる共用空間を創出。都市の中で心地よさと開放感を両立させながら、現代のライフスタイルに寄り添う新しい住まいの形を提案しています。

「Tokyo Apartment」は、東京都心の限られた敷地に建つ10階建て・全9戸の集合住宅です。設計の核となったのは、コロナ禍で希薄になりがちなコミュニティの再構築。ホテルのロビーラウンジのように、住民やゲストが気軽に立ち寄り、自然な交流が生まれる空間をエントランスに設けることで、従来の集合住宅にはない「つながり」を生み出しています。

建物の特徴的な点は、窓の配置と開口部の設計です。現地から望むイチョウ並木の美しい景観を最大限に取り込むため、各住戸の窓は直感的に位置と向きを決定。南西方向への眺望を確保するために梁を逆梁とし、中央の鉄筋コンクリート柱を省いたボイドスラブ構造を採用することで、開放的な住空間を実現しています。

各フロアは1住戸のみで、三方向に窓を設けることで通風と採光を確保。2メートルの奥行きを持つ広いバルコニーは、都市の中にいながら縁側のような外部空間を楽しめる設計です。室内はリモートワークやオンライン授業に対応した柔軟な間取りと大容量収納を備え、現代の多様な働き方や生活様式に応じた快適さを追求しています。

外観には杉板型枠のコンクリートを用い、シンプルかつ温かみのある表情を創出。堅牢でありながらも、都市の中で穏やかに佇む姿が印象的です。設計段階では「コミュニティによる化学反応」をテーマに、実際のユーザーの声や時代背景を反映したリサーチを重ね、協同住宅の知見を活かした空間づくりが行われました。

日本の集合住宅が抱える「プライバシー重視によるコミュニティの希薄化」という課題に対し、「Tokyo Apartment」は意図的にラウンジを象徴的な場所として設けることで、住民同士の関係性や建物の美観維持、トラブルの軽減といった社会的課題にもアプローチしています。

2025年にはA' Design Awardの建築部門でIron賞を受賞。実用性と革新性を兼ね備え、産業のベストプラクティスを体現したデザインとして高く評価されています。都市生活における新しい「つながり」と「心地よさ」を提案するこのプロジェクトは、今後の集合住宅の在り方に一石を投じる存在となるでしょう。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: WATARU OMAMEUDA
画像クレジット: Copyright belongs to Coplus Co., Ltd.
プロジェクトチームのメンバー: Hiroko Hayashi
プロジェクト名: Tokyo Apartment
プロジェクトのクライアント: Coplus Co,Ltd


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