サルハウスによるSreed Ebisu Tは、都市の中心部で木造建築の新たなプロトタイプを提示したことで注目を集めている。このプロジェクトは、スチールの柱梁フレームと木造の耐震フレームを組み合わせたハイブリッド構造を採用。木のフレームは「耐震木格子シェル」と名付けられ、構造体であると同時にインテリアの主役として、従来のオフィス空間とは一線を画すリラックスした雰囲気を実現している。
日本では近年、都市部での木造建築が注目されているが、多くは鉄骨やRC造の代替として木材を用いるにとどまり、木造ならではの空間的価値を十分に引き出せていない。Sreed Ebisu Tは、木材の持つ温かみや開放感を最大限に活かし、利用者がその価値を体感できる新しい都市木造建築の類型を目指した点が特徴だ。
建物は地上9階、高さ34.3メートル、延床面積564.7㎡。1階と地階は飲食・物販店舗、3階から9階がオフィスとして利用されている。各階には法令で定められた避難階段とバルコニー、エレベーターを完備し、建築基準法上の耐火建築物として設計されている。共用部にはテラスや階段が設けられ、他社の入居者同士が自然に交流できる仕掛けが随所に施されている。
設計・施工にあたっては、木材と鉄骨の精度管理や接合部のディテールに細心の注意が払われた。サルハウスは、施工会社や鉄骨・木材の各ファブリケーターと3Dデータを共有しながら、前例のない構法の実現に挑戦。木材を耐震要素として露出させることで、構造体がそのまま空間の質を高めるインテリアとなっている。
このプロジェクトは、CO2排出削減や森林資源の有効活用という社会的課題にも応えるものだ。木材の耐震要素は、耐火被覆が不要なため、構造美をそのまま内装として活かせる。2025年にはA'デザインアワード建築部門でシルバー賞を受賞し、技術力と芸術性の両面で高い評価を得ている。
Sreed Ebisu Tは、都市の働き方やオフィスの在り方に新たな視点をもたらした。木の温もりと開放感、そして人と人とのつながりを生む空間設計は、今後の都市建築の指針となるだろう。持続可能な社会と豊かなワークスタイルの実現に向け、都市木造建築の進化にさらなる期待が寄せられている。
プロジェクトデザイナー: Motoki Yasuhara
画像クレジット: Image #1:Photographer Makoto Yoshida, 2023
Image #2:Photographer Makoto Yoshida, 2023
Image #3:Photographer Makoto Yoshida, 2023
Image #3:Photographer Makoto Yoshida, 2023
Image #4:Photographer Makoto Yoshida, 2023
プロジェクトチームのメンバー: Architect: Motoki Yasuhara
Architect: Masashi Hino
Architect: Mari Tochizawa
Structural Engeneer: Jun Sato
プロジェクト名: Sreed Ebisu T
プロジェクトのクライアント: SAPPORO REAL ESTATE CO., LTD