空と共生する都市住宅:横浜青葉の革新的デザイン

自然との再接続を目指した新しい住まいのかたち

都市近郊の住宅地で失われがちな自然とのつながりを、建築家・高松伸と玉井啓が「横浜青葉」で再構築しました。現代の住宅が重視する断熱性やプライバシーを保ちつつ、日本の伝統的な住まいが持つ自然との調和を現代に蘇らせる試みが注目されています。

都市近郊では、住宅が密集し、隣家との距離が近いことから、住まい手はしばしばカーテンを閉め切り、外部との視線を遮断する生活を余儀なくされています。こうした現代の住環境は、エネルギー効率やプライバシーを重視する一方で、自然とのつながりを希薄にしています。しかし、かつての日本家屋は中庭や縁側を通じて外部環境と調和し、四季や気候を感じる暮らしを大切にしていました。

「横浜青葉」は、五角形の敷地中央に中庭を設け、すべての部屋がこの中庭を囲むように配置されています。これにより、住まい手はどこにいても空とつながり、自然光や風を感じることができます。特徴的なのは「ダブル・メビウスループ」と呼ばれる階段と廊下の構成で、家全体を巡る回遊性を実現。家族それぞれの活動やライフスタイルに柔軟に対応できる空間設計となっています。

この住宅は、パンデミック時にも配慮されており、各部屋ごとに独立した動線を確保。家族が交差せずに移動できるため、安全性とプライバシーが両立されています。また、自然採光と通風を最大限に活かす設計により、エネルギー消費を抑え、快適な都市生活を実現しています。建物のウィングは40度の角度で配置され、限られた敷地でも広がりを感じさせる工夫がなされています。

設計の背景には、京都の町家に代表される伝統的な日本住宅の研究が活かされています。町家は密集した都市環境でも中庭を通じて自然を取り込み、快適さと美意識を両立してきました。「横浜青葉」は、こうした伝統的知恵を現代の都市住宅に応用し、エネルギー依存を減らしながら、自然と共生する新たなライフスタイルを提案しています。

このプロジェクトは、2014年から構想が始まり、2017年には「AROUND THE SKY」が完成し、グッドデザイン賞を受賞。その後も「WITH THE SKY」「ALONG THE SKY」「IN THE SKY」など、空との共生をテーマにした住宅が次々と実現されています。2025年には、世界的なデザイン賞であるA' Design Awardの建築部門でシルバー賞を受賞し、技術力と芸術性の高さが国際的にも評価されました。

「横浜青葉」は、都市生活者に向けて、自然と調和した新しい住まいの可能性を示しています。今後の住宅設計において、自然とのつながりを重視したアプローチがますます重要になるでしょう。都市にいながらも四季や空を感じる暮らしが、持続可能な未来のライフスタイルとして広がることが期待されます。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Kei Tamai
画像クレジット: Kei Tamai
プロジェクトチームのメンバー: designer:Shin Takamatsu
プロジェクト名: Yokohama Aoba
プロジェクトのクライアント: SKY MISSION


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