「ブラックムーン」は、ルイ・モネの天文学への情熱と、ジャン=マリー・シャラーの希少な隕石収集へのこだわりから誕生した。ルイ・モネは、天体観測のために世界初のクロノグラフを開発したことで知られ、その精神が現代の時計作りに受け継がれている。このモデルは、月の満ち欠けを新たな視点で表現することを目指し、伝統と革新を見事に融合させている。
最大の特徴は、中央のわずかにドーム状に盛り上がったディスク上に、2種類の月隕石を用いて新月と満月を表現している点だ。ダークトーンのドファール457と、明るいガダミス005という異なる月の岩石が使われており、天文ムーンコンプリケーションによる高精度な月齢表示を実現。135歯のギアによるこの機構は、122年でわずか1日の誤差という驚異的な精度を誇る。
製造には、グレード5のポリッシュ&サテン仕上げチタンケース(直径40.7mm、重量18g)を採用。アヴェンチュリンのベースに浮かぶインデックスが奥行きと神秘性を演出し、ドーム型サファイアクリスタルが美しい文字盤のディテールを際立たせる。ムーブメントは自動巻きで、48時間のパワーリザーブを備える。
操作性にも工夫が凝らされている。3時位置の赤枠インデックスが現在の月相を示し、満月時には赤で囲まれた隕石片がインデックスと重なる。9時位置のサブダイヤルはコンパスに着想を得た針でセクターセコンドを表示し、長短の針先が30秒ごとに役割を分担。夜間の視認性を高めるため、針とインデックスにはルミナス加工が施されている。
このプロジェクトは2022年にスイスのルイ・モネ アトリエで始動し、2年の歳月をかけて開発。希少な月隕石の調達には専門のハンターと連携し、熟練の職人が一点ずつ丁寧に加工。ムーンコンプリケーションの設計はConceptoとの共同開発によるものだ。デザイン面では、機構の複雑さと洗練された美しさを両立させるため、中央の月ディスクや立体的なダイヤル、オープンワークのラグなど細部までこだわり抜かれている。
「ブラックムーン」は、2024年のWatches and Wondersで発表され、世界限定60本のみのリリース。2025年にはA'デザインアワードのプラチナ賞を受賞し、芸術性と技術革新の両面で高い評価を獲得している。宇宙の神秘と人類のクラフトマンシップが融合したこのタイムピースは、現代のラグジュアリーウォッチの新たな象徴となっている。
プロジェクトデザイナー: Les Ateliers Louis Moinet
画像クレジット: Les Ateliers Louis Moinet
プロジェクトチームのメンバー: Les Ateliers Louis Moinet
プロジェクト名: Black Moon
プロジェクトのクライアント: Les Ateliers Louis Moinet