黒じょかは、鹿児島で焼酎を温めるために使われてきた伝統的な陶器です。従来の黒じょかは囲炉裏での加熱を前提とした形状で、時代の変化に合わせた改良がほとんど行われてきませんでした。井路地悠貴氏は、カフェやショップを運営するMATHERuBAからの依頼を受け、現代の生活様式に調和する黒じょかの再設計に着手しました。
デザインのインスピレーションは、文献に記された「そろばん玉」の形状に由来しています。この特徴的なフォルムを現代的な美意識で再解釈し、機能性と美しさを両立させた新しい黒じょかが誕生しました。伝統を尊重しつつも、現代の食卓やインテリアに自然に溶け込むデザインが実現されています。
製造には、量産が可能な鋳込み成形技術を採用。これにより、家庭用だけでなく業務用としても活用できる耐久性の高い磁器製品となりました。釉薬には鹿児島のシラス台地由来のシラスを使用し、地域資源を活かしたものづくりが追求されています。地元の素材と技術が融合した点も、このデザインの大きな特徴です。
量産体制の確立には課題もありました。鹿児島では大量生産の技術が十分に整っていなかったため、長崎の陶工に協力を依頼し、鹿児島産の素材を活用することで、地域性を損なわずに高品質なプロダクトを実現しました。こうした工夫により、伝統と現代性、地域性と普遍性が見事に調和しています。
この黒じょかの再デザインは、2018年2月に鹿児島でスタートし、2019年11月に完成。現在は一般販売も行われています。プロジェクトは、焼酎文化と薩摩焼の伝統技術を未来へとつなぐ新たな一歩として、高く評価されています。
本プロダクトは、2025年のA'デザインアワードにてゴールド賞を受賞。伝統工芸の進化と現代生活への適応が、デザイン界に新たなインパクトをもたらしました。今後も、地域文化と現代デザインの融合による新しいライフスタイル提案が期待されています。
プロジェクトデザイナー: Yuki Ijichi
画像クレジット: Image #1 : Photographer Masahiko Kukiyama
Image #2 : Photographer Masahiko Kukiyama
Image #3 : Photographer Masahiko Kukiyama
Image #4 : Photographer Masahiko Kukiyama
Image #5 : Photographer Masahiko Kukiyama
プロジェクトチームのメンバー: Yuki Ijichi
プロジェクト名: Redesign of Kurojyoka
プロジェクトのクライアント: MATHERuBA