「Lilong Arcade」は、公共性と共有を象徴するアーケードという建築モチーフを採用し、歴史的な街並みと現代性を巧みに融合させています。上海の歩行者ネットワークに自然に溶け込む設計で、地域住民が気軽に立ち寄れる都市の「拡張されたリビングルーム」として機能します。設計者のJiahua Xuは、「人々に寄り添い、地域の特性に適応し、柔軟に変化する空間」を目指し、限られた敷地内で豊かなサービスと活動の場を実現しました。
このプロジェクトの最大の特徴は、歴史的要素と現代的な機能性の両立です。ファサードには伝統的なアーケードの意匠を取り入れつつ、最新の建材を活用。周囲の歴史的建築と調和しながらも、開放的で活気あふれる雰囲気を創出しています。固定スペースとフレキシブルスペースを組み合わせたレイアウトにより、市民活動、飲食、医療、子育て、スポーツなど多様な用途に対応。市民の多様なライフスタイルに寄り添う柔軟性が高く評価されています。
建築技術面では、既存建物の高さや立体的な制約を活かしつつ、経済性と実用性を両立。小スパンの梁や部分的な高さ調整により、開放感と採光性を確保しています。建物内部にはアトリウム(吹き抜け)を設け、自然光が降り注ぐ明るい空間を実現。主要道路から奥へと続く視覚的な回廊が、都市のネットワークと一体化した動線を生み出しています。
外壁には淡い色調のレンガを採用し、周囲の街並みとの一体感を強調。床から天井までの大きなガラス窓が、建物内部に自然光を取り込み、透明感と開放感を演出しています。市民が自由に集い、交流できる「グレーゾーン(半屋外空間)」も設けられ、都市生活者の多様な活動を支えています。
「Lilong Arcade」は、2025年のA'デザインアワード建築部門でブロンズ賞を受賞。審査員からは「芸術・科学・デザイン・テクノロジーのベストプラクティスを体現し、都市生活の質向上に貢献している」と高く評価されました。歴史的文脈を尊重しつつ、現代都市に新たな公共空間を提案するこのプロジェクトは、今後の都市再生やコミュニティデザインのモデルケースとなるでしょう。
「Lilong Arcade」は、都市の歴史と未来をつなぐ架け橋として、地域社会に新たな価値をもたらしています。多様な市民活動を支える柔軟な空間設計と、文化的アイデンティティを守るデザイン手法は、今後の都市開発においても大きな示唆を与える存在です。
プロジェクトデザイナー: Jiahua xu
画像クレジット: Jiahua xu
プロジェクトチームのメンバー: Jiahua xu
プロジェクト名: Lilong Arcade
プロジェクトのクライアント: Archtic