伝統と革新が響き合う「Great Wall」リノベーション

歴史的建築を現代的デザインで再生したMeng-Ling Chiuの挑戦

台湾の静かな街角に佇む築40年の建物が、Meng-Ling Chiuによる巧みなリノベーションで、伝統とモダンが融合するデザインクラブとして生まれ変わりました。歴史的価値を守りつつ、現代のライフスタイルに寄り添う空間が、訪れる人々に新たな感動と温もりを提供しています。

このプロジェクトの核となるのは、建物本来の魅力を最大限に活かしながら、現代的な機能性と快適さを追求した点です。元のテラゾー床やヴィンテージの窓格子を保存し、日本家屋の趣を取り入れることで、文化的な深みと温かみを感じさせる空間が実現されています。三階建ての構造は、細部にまでこだわった設計によって、訪れる人々に居心地の良さと帰属意識をもたらします。

特筆すべきは、1階の洗面所に設けられた革新的な天窓デザインです。ヴィンテージの窓格子を天窓に組み込むことで、差し込む光が美しい模様を描き、空間全体に独特の雰囲気をもたらします。また、天井照明を活用して自然光のような明るさを演出し、ヴィンテージの趣と現代的な創造性を融合。階段部分には水墨画を思わせるグラデーションが施され、単なる移動空間を芸術作品へと昇華させています。鮮やかなオレンジ色のドアは白壁と対比し、歴史的な街並みに現代的なエネルギーを注ぎ込んでいます。

素材選びにも徹底したこだわりが見られます。大判タイルやアイアンパーツ、木製格子を効果的に組み合わせ、既存の無垢材を巾木やドア枠として再利用。これにより、空間に懐かしさと文化的な深みが加わっています。1階は特別な白い塗装で明るさを強調し、階段の水墨模様が視覚的なアクセントに。上階には温かみのある木目とテラゾー床を採用し、ミントグリーンやベージュゴールドなどのアクセントカラーが新鮮さと活気を添えています。

建物は延べ188.4平方メートル、3階+屋上の構成で、各階が生活と仕事の両立を意識した多機能空間として設計されています。1階はリビング・ダイニング・キッチン、2階はクラブや主寝室、3階は2つの寝室とバスルーム、屋上は雨除けテラス付きのレセプションスペースと、用途に応じて柔軟に使える間取りです。限られたスペースを最大限に活用し、快適な暮らしと創造的な活動を両立させています。

リノベーション後の空間は、従業員や来訪者から高い評価を受けています。オリジナルの床や窓を活かした温かみのある雰囲気が、インスピレーションを刺激し、特に年配の来訪者には懐かしさから感動の涙を誘うことも。古き良きものと新しい発想が交差するこの空間は、世代を超えた共感と未来志向のライフスタイルを提案しています。

数々の技術的・構造的課題を乗り越えた本プロジェクトは、2025年のA'デザインアワード(インテリア空間・小売・展示デザイン部門)でIron賞を受賞。産業的要件を満たしつつ、持続可能性や芸術性を兼ね備えた空間として高く評価されています。

「Great Wall」は、過去と未来をつなぐアートとして、都市の一角に新たな息吹をもたらしています。歴史を尊重しつつも、現代の感性を巧みに取り入れたこの空間は、今後のリノベーションデザインに新たな指標を示す存在となるでしょう。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: CHIU MENG LING
画像クレジット: GREATWALL DESIGN
プロジェクトチームのメンバー: CHIU MENG LING
プロジェクト名: Great Wall
プロジェクトのクライアント: GREATWALL DESIGN


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