組み立て工具不要の家具「Toolless」がもたらす新しい暮らし

サステナブルで直感的な家具デザインが生活を変革する理由

従来のパネル家具は、無数のネジや複雑な説明書、ラベルのないパネルによって、組み立てが煩雑で時間を要するものでした。黄寧（Huang ning）率いるデザインチームが開発した「Toolless」は、こうした課題を解決するため、独自のコネクターを採用。工具不要でパネル同士を押し込むかスライドさせるだけで、誰でも簡単に家具を組み立てられるよう設計されています。

「Toolless」の最大の特徴は、繰り返し分解・再組み立てが可能な点です。コネクターには弾性変形の原理が応用されており、引越しや模様替えの際にも家具を傷つけることなく再利用できます。この仕組みにより、家具の寿命が大幅に延び、資源の無駄を防ぐサステナブルな選択肢となっています。

また、パネルは組み立て順に梱包されており、直感的なモジュール構造によってユーザー体験が向上。二色のパネルを採用することで、内外の区別が一目でわかり、初めての人でも迷わず組み立てられる工夫が施されています。外形寸法は1400mm×395mm×450mm、フラットパッケージ化により輸送効率も向上し、メーカーのコスト削減にも寄与しています。

このプロジェクトは2023年11月から2024年4月まで深センで開発され、2024年8月にはパリのメゾン・エ・オブジェで展示予定です。研究開発段階では、最適な硬度の複合素材や低コスト・高耐久性のプラスチックコネクターの選定に多くの試行錯誤が重ねられました。その結果、安定性と再利用性を両立した構造が実現しています。

「Toolless」は2025年、A'デザインアワードのブロンズ賞を受賞。優れた技術力と創造性、そして生活の質向上への貢献が高く評価されました。特許（ZL 2023 2 1722842.9）も取得済みで、今後の家具デザインの新たなスタンダードとして注目されています。

家具の組み立てにストレスを感じていた人々にとって、「Toolless」はまさに革新的な選択肢です。サステナブルで直感的なデザインが、より快適で豊かな暮らしを実現します。