「King Mo」は、数々のジュエリーブランドが集結する複合型ブティックとして設計された。最大の特徴は、天井に配された無数の白いスチールロッド。これらは数学的な曲線に沿って配置され、見る角度によって幾何学的な形状が変化する。まるで宝石が放つ複雑な光の反射を空間全体で再現しているかのような演出が、来店者を魅了する。
天井装飾は、宝石の集合体を思わせる立体的なパターンを形成し、店内に入ると一瞬で非日常の世界へと誘う。各ブランドの個性を尊重しつつも、全体として調和のとれた美しい空間が広がる。ジュエリーが単なる商品ではなく、アート作品として際立つように設計されている点も注目に値する。
設計の過程では、80mm径の白いスチールロッドが採用された。照明やスプリンクラーなどの設備をロッド内部に収めるため、各ロッドは長さが異なり、天井パネルには設計通りの穴が開けられた。一本一本に番号を振り、順番に設置することで、複雑なデザインを正確かつ効率的に実現している。この手法は、機能性と美しさの両立を可能にした。
店内のロッドは中央から外周に向かって有機的に広がり、空間全体をやわらかく包み込むような印象を与える。自然界のリズムや流れを感じさせるデザインは、商品陳列の枠を超え、五感を刺激する体験型の空間を創出。訪れる人々に、日常を離れた特別なショッピング体験を提供している。
このプロジェクトは、2023年1月に始動し、2024年2月に完成。設計面積は1200平方メートル、うち共用部は約500平方メートルを占める。複数ブランドの個性を際立たせつつ、統一感ある空間を実現した点が高く評価され、2025年にはA' Design Awardのゴールド賞を受賞した。
「King Mo」は、宝石の美しさと空間デザインの革新性を融合させた新たなリテール体験の象徴である。ブランドの個性を尊重しながらも、来店者の感情に訴えかける空間づくりは、今後のジュエリーショップデザインに新たな指標を示している。
プロジェクトデザイナー: Masato Kure
画像クレジット: Photo:ingallery
プロジェクトチームのメンバー: Masashi Ota
Yosuke Tsukamoto
プロジェクト名: King Mo
プロジェクトのクライアント: KING MO