光と格子が織りなす住空間の新たなシークエンス

自然光と人工光が生み出す時の流れを可視化する家

「The Sequence in Grating」は、チェ・ユン・クンによる革新的な住宅デザインであり、光の干渉や格子の透過性を活かし、空間に詩的な時間の軌跡を刻むことを目指している。ニューロマンティックな美意識と機能性が融合し、現代のライフスタイルに新たな価値をもたらしている。

本プロジェクトは、光の回折現象に着目し、空間における「秩序」を再構築することを主題としている。古代ローマのパンテオンや安藤忠雄の建築に見られるように、光は空間の本質を形作る重要な要素である。チェ・ユン・クンは、格子や半透明素材を用いることで、自然光と人工光が交差し、時間の流れを視覚的に記録する住宅を実現した。

設計の特徴として、木製ベニヤの不規則なファサード分割や、10mm角の木製格子扉、アルミ押出しのライトバーなど、細部にまでこだわったクラフトマンシップが光る。リビングにはハンターダグラス社のシルクカーテンを採用し、ダイニングのアイランド照明には規則的なガラスシェードを配置。これらの要素が連続性と変化を生み出し、空間に豊かな表情を与えている。

空間のカラーリングはトーン・オン・トーンで統一され、照明計画やオーナーのコレクションと調和することで、住まい全体にアート性をもたらしている。さらに、不要な部屋を撤去しリビングを拡張することで、家族のコミュニケーションが促進され、生活の質が向上した点も注目される。

技術的には、素材そのものの質感を活かすため、石材や金属といった時代を超えるマテリアルを選定。格子扉は通気性と美しさを兼ね備え、手仕事の温もりを感じさせる。空間の広さは107平方メートルで、細部にわたるカスタマイズが施されている。

この住宅は、2025年にA' Design Awardのブロンズ賞を受賞し、芸術性・技術力・生活の質向上への貢献が高く評価された。光と素材の対話が生み出す新しい住空間の在り方は、今後の住宅デザインに大きな示唆を与えている。

「The Sequence in Grating」は、日常の中に詩的な時間と空間の体験をもたらす。光と格子が織りなす住まいの可能性は、現代のライフスタイルに新たなインスピレーションを与え続けるだろう。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Che Yung Kung
画像クレジット: Che Yung Kung
プロジェクトチームのメンバー: Che Yung Kung
プロジェクト名: The Sequence in Grating
プロジェクトのクライアント: 03 Dimensions Design Ltd.


The Sequence in Grating IMG #2
The Sequence in Grating IMG #3
The Sequence in Grating IMG #4
The Sequence in Grating IMG #5
The Sequence in Grating IMG #5

デザイン雑誌でさらに詳しく読む