畑の個性を伝える「はがたファームピクルス」パッケージ

農家の誇りと地域のつながりを形にしたデザインの力

「はがたファームピクルス」は、愛媛県新居浜市の畑で育てられた野菜を使い、学校給食のための野菜栽培費用を販売利益でまかなうという、地域と子どもたちをつなぐプロジェクトから生まれた。吉田菊美氏によるパッケージデザインは、農業の挑戦と誇り、そして野菜本来の美しさを生活者に伝える新しいアプローチとして注目されている。

このパッケージは、単なる食品容器を超え、農家の想いと消費者の体験を結ぶコミュニケーションツールとして設計されている。ロゴには、クライアントの手と野菜の種がモチーフとして用いられ、農家の誇りや努力が視覚的に表現されている。蓋を覆う緑色の和紙は、野菜の葉を模しており、自然の息吹と新鮮さを感じさせる工夫が施されている。

デザインの特徴は、野菜の持つ深みや力強さを細やかなドットパターンで表現している点にある。特に、ダイコンの白さを際立たせるためにラベルデザインを極力ミニマルに抑え、素材そのものの美しさが際立つよう配慮されている。これにより、消費者はパッケージ越しに野菜の生命力や畑の空気を感じ取ることができる。

技術面では、パッケージの蓋を覆う和紙の裏側に感謝の手紙と商品コンセプトが記されている。これにより、開封時に生産者からのメッセージが直接伝わり、購入体験がよりパーソナルで印象的なものとなる。パッケージ自体が記念品として手元に残るよう設計されており、消費後も生活空間に溶け込むデザインが評価されている。

プロジェクトは2022年に新居浜市でスタートし、デザインチームはクライアントの好みや雑誌の傾向などを丁寧にヒアリングしながら、地域性や農業の価値観を重層的に落とし込んだ。既存のピクルス商品との差別化を図るため、地元野菜の魅力とストーリー性を前面に押し出した点が、消費者の共感を呼んでいる。

「はがたファームピクルス」のパッケージデザインは、2025年にA'パッケージデザイン賞アイアン賞を受賞。業界のベストプラクティスと技術的な完成度を兼ね備え、社会にポジティブな影響をもたらすデザインとして高く評価された。農業とデザインが共鳴し、地域社会の価値を新たに照らし出す好例と言えるだろう。

農家の誇りや地域のつながりを生活者に伝えるデザインは、今後のパッケージングの在り方に新たな指針を示している。生活の中で手に取るものに込められたストーリーや想いを感じることで、消費行動そのものが豊かな体験へと変わっていく。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Kikumi Yoshida
画像クレジット: #1: Designer Kikumi Yoshida, Kuuche design,Photographer Keijiro Ando, 2022. #2: Designer Kikumi Yoshida, Kuuche design,Photographer Rui Tokunaga,2022. #3: Designer Kikumi Yoshida, Kuuche design, 2022. #4: Designer Kikumi Yoshida, Kuuche design, 2022. #5: Designer Kikumi Yoshida, Kuuche design, 2022. Writer Tomomi Takada,Video production Hiroshi Minao
プロジェクトチームのメンバー: Kikumi Yoshida
プロジェクト名: Hagata Farm Pickles
プロジェクトのクライアント: Hagata Farm


Hagata Farm Pickles IMG #2
Hagata Farm Pickles IMG #3
Hagata Farm Pickles IMG #4
Hagata Farm Pickles IMG #5
Hagata Farm Pickles IMG #5

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