伝統と現代が融合する昆明王府井の新しいショッピング体験

雲南・白族の絞り染めが生み出す空間デザインの革新

昆明王府井百貨店のリノベーションは、白族の絞り染めからインスピレーションを得て設計されました。伝統工芸の色彩やパターンを現代の商業空間に巧みに取り入れることで、買い物をしながら文化に触れられる空間が実現されています。デザインチームは、雲南の白族文化の奥深さを探求し、その本質を抽出してデザインに反映しました。

この1900平方メートルに及ぶ改装プロジェクトの最大の特徴は、単なる装飾にとどまらず、文化遺産とイノベーションの本質的な融合を目指した点にあります。青と白が織りなす絞り染めのパターンは、歴史と現代の対話を象徴し、伝統の純粋さと魅力を保ちながら、モールに新たなファッション性をもたらしています。

実現技術の面では、YEENIAN DESIGNが白族の伝統的な絞り染め技法を空間装飾に応用しました。天然の綿やリネン素材を厳選し、植物由来の染料を用いて手作業で結び目を作り染色することで、唯一無二の模様と色彩の奥行きを生み出しています。このプロセスは、伝統の魅力を損なうことなく、現代的な美意識と調和しています。

技術仕様としては、手作業による結びと天然染料による染色が特徴で、パターンのランダム性と色の重なりが生まれます。高品質の純綿素材を使用し、環境保護の観点からも配慮された設計となっています。これにより、快適さとサステナビリティが両立された空間が実現しました。

空間の使い勝手にも細やかな配慮がなされています。店舗や休憩エリアの配置は、来館者が自然体でショッピングを楽しめるよう設計されており、グリーンや快適な座席、細やかなディテールが温かみとリラックス感を演出しています。実際に、YEENIAN DESIGNは顧客のニーズを深く理解し、実用性と美しさを両立させた空間づくりを実現しました。

このプロジェクトは、2023年12月に昆明で完成し、10か月をかけて計画・施工されました。リサーチ段階から空間レイアウトや雰囲気づくり、機能向上に注力し、ショッピング・レジャー・エンターテインメントが融合する高級空間を目指しました。最大の課題は伝統と現代性のバランスでしたが、地域文化への深い洞察と革新的なデザインでこれを克服しています。

昆明王府井リノベーションは、伝統工芸と現代デザインの融合によって新たなショッピング体験を創出し、2025年にはA' Design Awardのアイアン賞を受賞しました。文化的価値と現代的快適性を兼ね備えたこの空間は、今後の商業施設デザインに新たな指標を提示しています。