モジュール式未来型車両「Bio Shift」が切り拓く移動の自由

陸・空・水上を自在に行き来する革新的なコンセプトビークル

アミン・ガシュガヴィとレザ・ガンチによる「Bio Shift」は、バクテリオファージのライフサイクルや月面探査技術から着想を得た、全く新しい多目的車両コンセプトです。移動の自由と安全性を両立し、従来の交通手段の枠を超えた体験を提案します。

「Bio Shift」は、モジュール式デザインと多機能性を融合したコンセプトビークルとして注目を集めています。陸上走行はもちろん、空中飛行や水上サーフィンも可能なこの車両は、従来の自動車の常識を覆す存在です。設計のインスピレーションには、ウイルスの一種であるバクテリオファージの「付着」「分離」「再付着」という三段階のライフサイクルと、月面探査ミッションのモジュール構造が活かされています。

最大の特徴は、取り外し可能なグリーンハウス(キャビン)部分がドローンやサーフィンポッドに変形する点です。4枚翼と2枚翼のモジュールを組み合わせることで、状況に応じて空中や水上への移動が可能となります。これにより、ユーザーは危険からの回避や未知の領域への探検など、かつてない自由度を手に入れることができます。

開発プロセスでは、既存のモジュール式車両やドローン技術の徹底的なリサーチが行われました。バクテリオファージの構造や宇宙探査機の分離・再結合メカニズムを参考に、部品の分割と組み合わせの最適化が図られています。これにより、ユーザーの安全性やパフォーマンスニーズに応じて自在に形態を変える、柔軟な移動システムが実現しました。

技術面では、モジュール性・エネルギー効率・人工知能を軸に設計されています。地上走行時は高効率な電動モーターを搭載し、飛行や水上移動時にはキャビンが分離し、翼やローターが展開。垂直離着陸も可能なため、都市部から自然環境まで幅広いシーンで活躍が期待されます。

最大の課題は、複数の機能を一台に集約しつつ、デザイン性と効率性を両立させることでした。パーツの分割方法や全体のフォルムに関する研究が重ねられ、親しみやすさと革新性のバランスが追求されています。公共の受容性に対する懸念も、利便性や安全性の高さを訴求することで克服できると考えられています。

「Bio Shift」は2024年6月から9月にかけてテヘランで開発され、バイオロジーと航空宇宙工学の知見を融合した研究成果として結実しました。2025年には、実用性と革新性が高く評価され、A' Futuristic Design AwardのIron賞を受賞しています。

このプロジェクトは、移動の在り方を根本から問い直し、ユーザーに新たな自由と安心をもたらす未来型ビークルの可能性を示しています。今後の展開に大きな期待が寄せられています。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Amin Qashqavi
画像クレジット: Amin Qashqavi
プロジェクトチームのメンバー: Amin Ghashghavi and Reza Ghandchi Mazandarani
プロジェクト名: Bio Shift
プロジェクトのクライアント: Furizon


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