「Cotton Boll」は、2023年に開港したチュクロヴァ空港内に位置し、Ece Gulagac氏とOzkan Gulagac氏によって設計されました。チュクロヴァ地方は人類最古の定住地の一つであり、豊かな歴史と地理的・経済的価値を持つ地域です。このラウンジは、地域の綿花畑や伝統的な手織りテキスタイル、歴史的建築物からインスピレーションを得て、利用者の快適性とサステナビリティを重視したデザインが特徴です。
空間全体には、綿花畑の線的なテクスチャーをモチーフにした曲線的な天井パターンが採用されています。航空会社のコーポレートアイデンティティである「Flow(フロー)」のコンセプトと調和し、自然な流れを感じさせる設計となっています。素材には、地域産のコットンを用いたナチュラルなテキスタイルを選定し、視覚的な一体感と素材の本物らしさを強調しています。
照明には柔軟なLEDを布の層の間に組み込み、綿の白い質感の流動性と柔らかさを表現。光源が直接目に入らないよう、LEDの両側に垂直に布を設置し、拡散された心地よい光が空間全体に広がります。さらに、天井には鏡面仕上げのラミネートパネルを用いることで、空間の高さと開放感を演出しています。
ラウンジ内には、綿花の形状や質感から着想を得た独自のパターンが随所に施され、照明と組み合わせてビルトインシートの背面パネルに組み込まれています。これにより、柔らかな光とともに空間に奥行きと温かみが生まれ、利用者にくつろぎのひとときを提供します。
フード&ドリンクエリアには、チュクロヴァ地方の伝統的なカーペット織りや歴史的モザイクのモチーフを現代的に再解釈したパネルが設置されています。全長7.6メートルのこのパネルは、3,532個のモザイクピースを職人が一つ一つ手作業で組み上げたもので、光沢とマットな質感が利用者の動きに合わせて表情を変え、空間に生き生きとした躍動感を与えます。
このプロジェクトは、地域の文化的アイデンティティと現代的な快適性、そして持続可能性を見事に融合。厳しい空港の安全基準や耐久性への要求をクリアしつつ、自然素材と伝統工芸を巧みに取り入れた設計が高く評価され、2025年にはA' Design Awardのゴールド賞を受賞しました。
「Cotton Boll」は、単なる空港ラウンジの枠を超え、旅人に地域の魅力を五感で体験させる新しいトラベルスペースの在り方を提示しています。文化と快適性が調和した空間で、移動の合間に心豊かな時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
プロジェクトデザイナー: Ece Gülagac
画像クレジット: OGE Architects
プロジェクトチームのメンバー: Designer: Ece Gulagac
Designer: Ozkan Gulagac
プロジェクト名: Cotton Boll
プロジェクトのクライアント: OGE Architects