ザレアアートウェア:サステナブルな手仕事が生む唯一無二のジャケット

アップサイクル素材と職人技が織りなす現代のアートウェア

ラリリ・ラウによる「ザレアジャケット」は、アップサイクル素材と手縫いの技術が融合した、サステナブルファッションの新たな象徴です。ニューヨーク・ブルックリンのアトリエで生まれたこのジャケットは、4年以上かけて集められた布の端切れを用い、素材の歴史と作り手の想いを纏う現代的なアートウェアとして注目を集めています。

ザレアジャケットは、ファッションとアート、そしてサステナビリティを融合させた一着です。ラリリ・ラウは、2022年末からデザインの枠を設けず、布の質感や動きに着目しながら制作をスタート。端切れや寄付された布を手縫いでつなぎ合わせるプロセスは、作り手自身の心を癒し、クラフトへの愛着を再発見する時間となりました。素材の持つストーリーを尊重しながら、持続可能なファッションへの新しいアプローチを体現しています。

このジャケットの最大の特徴は、ひとつとして同じものが存在しない点です。アップサイクルされたコットン、ウール、シルクなど多様な素材が重なり合い、豊かなテクスチャーと立体感を生み出しています。オーバーサイズのシルエットとカスケード状に垂れる布片が彫刻的な印象を与え、着る人に唯一無二の存在感をもたらします。大量生産へのアンチテーゼとして、環境への敬意とクラフトマンシップの価値を強く打ち出しています。

ザレアジャケットは、すべて手縫いで仕立てられています。制作には約4か月半を要し、ラリリ・ラウのブルックリンのスタジオで一針一針丁寧に仕上げられました。スローファッションの理念に基づき、捨てられるはずだったスカーフやテキスタイルが新たな命を吹き込まれ、サステナブルなクリエイションの象徴となっています。

着用時には、ゆったりとしたシルエットがレイヤリングを楽しめるだけでなく、動きに合わせて布片が流れるように揺れ、アートピースとしての存在感を放ちます。繊細な手縫い構造のため、ドライクリーニングまたは優しい手洗いが推奨されており、長く大切に着続けることができます。

ザレアジャケットの名前は、アザレア(ツツジ)の花の繊細さと強さ、そして「守る衣」というコンセプトに由来しています。アップサイクル素材を用いることで、廃棄物へのシールドとなり、着る人に自然とのつながりやエンパワーメントを感じさせます。2025年にはA'デザインアワードのファッション部門でアイアン賞を受賞し、実用性と革新性を兼ね備えたデザインとして国際的にも高く評価されています。

ザレアジャケットは、サステナブルな素材選びや手仕事の価値を再発見させるとともに、ファッションの新しい可能性を示しています。大量生産から離れ、素材の歴史や作り手の想いを纏うことで、着る人自身も唯一無二の物語を紡ぐことができるでしょう。サステナブルファッションの未来を切り拓くこのアートウェアは、今後も多くのクリエイターやファッション愛好家にインスピレーションを与え続けるはずです。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Laili Lau
画像クレジット: Photo: Anibal Mestre Wong Model: Valeria Usganda Production: Manaure Penalver
プロジェクトチームのメンバー: Laili Lau
プロジェクト名: Zalea Artwear
プロジェクトのクライアント: Laili Lau


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