時を刻む空間:APハウスが描く現代的社交の美学

スイスとマカオの融合が生み出す新たなラグジュアリー体験

ジョニー・リーが手がけたAPハウスは、スイス・アルプスの洗練とマカオのコロニアルヘリテージを融合し、時の流れを感じさせる唯一無二の社交空間として誕生しました。現代的なシャレーと海辺の静謐さが共存するこの空間は、ラグジュアリーリテールの新たな可能性を提示しています。

APハウスのデザインコンセプト「Tracing Time(時をなぞる)」は、過去の再解釈から現在の記憶、そして未来への探求へと続く時間の旅を表現しています。スイス・ル・ブラッシュとマカオという対極的な土地のエッセンスを融合させることで、空間全体に独自のシナジーが生まれました。スイス・アルプスのハイキングから東洋庭園の散策まで、時間と場所を超えた抽象的な旅が細部にまで息づいています。

このプロジェクトは、デザインコンペティションを経て選出されたジョニー・リー率いるスタジオによって実現されました。高い天井と広大な空間を持ちながらも、親密で落ち着いた雰囲気を損なわず、壮麗さと温かみを両立させる設計が求められました。全体の美意識は控えめで時代を超越し、過度な装飾やステレオタイプを排した洗練が特徴です。

技術面でも革新が光ります。建築や空調の一部には3Dプリント技術が用いられ、来訪者に驚きを与えています。ブロンズで鋳造された竹のドアハンドルやテーブル脚、イタリア製の無垢ウェンゲ材ダイニングテーブルなど、カスタマイズされたディテールが空間に独自性をもたらします。照明・音響・空調はすべてiPadで一括制御され、快適性と先進性を両立しています。

APハウスは、招待制のソーシャルクラブとして、最も洗練された顧客のための特別な体験を提供します。バーやダイニング、時計製作のマスタークラス、DJステーションなど、多彩なプログラムが用意され、ミシュランスターシェフによる料理も楽しめます。空間の運用は、ラグジュアリーリテールの未来像を体現しています。

デザインの根底には、オーデマ ピゲの歴史やル・ブラッシュの町、1920〜50年代のマカオの文化遺産への徹底したリサーチがあります。世界各地のAPハウスや本社ミュージアムの視察を重ね、失われつつあるマカオの歴史的要素も丁寧に掘り起こされました。厳格なマカオの規制や、陳腐化を避けるためのクリエイティブなバランスも、プロジェクトの大きな挑戦でした。

APハウスは、2025年A'デザインアワードのブロンズ賞を受賞し、アート・サイエンス・テクノロジーの最良実践を体現する空間として高く評価されています。時を超えて愛される社交の場として、ラグジュアリーの新たな基準を提示し続けることでしょう。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Johnny Li
画像クレジット: All Images : Robyn Lea Photography Captions and Text : Catherine Shaw Video : Johnny Li
プロジェクトチームのメンバー: Johnny Li
プロジェクト名: AP House
プロジェクトのクライアント: Audemars Piguet


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