このプロジェクトの核となるのは、「保存」と「刷新」の絶妙なバランスです。JQYYは、歴史的価値の高いオリジナル部分を丁寧に残しつつ、時代と共に付加された非オリジナル要素を排除。レンガ壁をガラスブロックに置き換えることで、透明感と現代性を融合させた新たなファサードを創出しました。これにより、建物内部へ自然光が柔らかく差し込み、空間全体が軽やかに生まれ変わっています。
新たに加えられた2つのキュービックボリュームは、既存の建物と調和しながらも独自の存在感を放ちます。これらを繋ぐ大きなキャノピー(庇)は、約3,000平方メートルもの広がりを持ち、光と影のコントラストを生み出すと同時に、訪れる人々に親密な空間体験を提供します。キャノピーの水平ラインは周辺都市のグリッドと呼応し、都市と自然、過去と現在を象徴的に結びつけています。
構造面では、スチール構造を採用することで新設部分の軽量化と柔軟性を実現。これにより、オープンで流動的な空間づくりが可能となり、既存建築との繊細な調和が図られました。また、曲線的なフォルムを随所に取り入れることで、従来の直線的なモダニズム建築に柔らかな印象を与えています。
この再生計画は、オフリドの歴史的景観と現代的なライフスタイルを融合させる先進的な試みとして注目されています。元々300平方メートルの建築面積に、同規模の新設部分を加え、全体で600平方メートルのバランスの取れた構成を実現。さらに、かつてのバーの跡地を舗装パターンで可視化するなど、記憶のレイヤーを繊細に表現しています。
JQYYによるこのプロジェクトは、2025年のA'デザインアワード(建築部門)でアイアン賞を受賞。歴史的建築の保存と現代的な機能美の両立、そして地域コミュニティへの新たな価値創出が高く評価されています。オフリド湖畔に新たな息吹をもたらすこのナウティカルクラブは、建築とライフスタイルの未来を示唆する象徴的な存在となっています。
歴史と現代性が交差するこの空間は、訪れる人々に時間の流れと建築の可能性を体感させる場となるでしょう。今後も、地域の文化的資産を活かしたイノベーティブな再生プロジェクトが各地で注目されることが期待されます。
プロジェクトデザイナー: JQYY
画像クレジット: Image #No 1-5: Creator: Jing Chen, Qizhen Tang, Yanci Chen, Yinzhu Yao, Renovation: Nautical Club Ohrid, 2024.
プロジェクトチームのメンバー: Jing Chen
Qizhen Tang
Yanci Chen
Yinzhu Yao
プロジェクト名: Renovation in Ohrid
プロジェクトのクライアント: JQYY