「Martyrs' Maze」は、キム・ムハン、ヤン・ジョンウン、ミン・ギョンチェによるデザインチームが手がけた瞑想的な迷路型サンクチュアリである。そのインスピレーションは、巡礼の道と殉教者への畏敬の念に根ざしており、曲がりくねった迷路の道が信仰と忍耐の歩みを象徴している。訪問者はこの空間を歩くことで、自己と向き合い、歴史や精神性に思いを馳せる体験へと誘われる。
このデザインの最大の特徴は、伝統と現代性の融合にある。HPL(高圧ラミネート)やCNCカットのステンレススチールによる構造体に、廃船から再利用された木材のベンチ、火山石の床材が組み合わされている。これらの素材選びは、耐久性と美観を両立させるだけでなく、持続可能性や歴史的な重みも空間に与えている。特に再生木材の使用は、過去と現在をつなぐ象徴的な役割を果たしている。
製作には精密なCNCカッティング技術が用いられ、屋外環境に適した耐候性とメンテナンス性を実現。火山石の30mm厚の床材は、自然な質感と高い耐久性を兼ね備え、訪問者の歩行体験を豊かにしている。迷路の通路幅は1,200mmとゆとりを持たせ、ベンチも快適なサイズ感で設計されている。
この空間は、訪れる人々がゆっくりと歩みを進め、静かに思索できるよう意図されている。迷路のレイアウトは、精神的な巡礼の旅を体現し、自然素材の触感や景観と調和することで、五感を通じた深い没入体験を提供する。地元の歴史家やユーザー調査の結果も反映され、文化的遺産への理解と敬意を深める場として機能している。
設計過程では、歴史的な尊厳と現代的なデザインのバランス、持続可能な素材の調達、屋外環境への技術適応など、多くの課題があった。これらを乗り越えたことで、社会的な敬意と環境配慮を両立した空間が実現した。
「Martyrs' Maze」は、2025年A' Design Award(ランドスケープ・ガーデン部門)ブロンズ賞を受賞。芸術性と技術力、そして社会的意義を兼ね備えたこのプロジェクトは、現代のライフスタイルに新たな精神的価値をもたらしている。静謐な迷路を歩きながら、歴史と自分自身に向き合う時間を体験してみてはいかがだろうか。
プロジェクトデザイナー: Moohan Kim
画像クレジット: Moohan Kim
プロジェクトチームのメンバー: Lead Designer: Kim, Moohan, Engineer & Designer: Yang, Jong-eun & Min, Kyung Chae, Assistant Designer: Choi, Hyo Bhin & Lee, Sujeong
プロジェクト名: Martyrs' Maze
プロジェクトのクライアント: ITLs