自然と共生する垂直住宅「Terra Cascade」誕生

光と空間が織りなす革新的な住まいの在り方

都市と自然が交差する台北・内湖の丘陵地に、建築家Jimmy Yung率いるデザインチームが手がけた「Terra Cascade」が完成した。自然のリズムを建築に取り込むことで、現代の多世代家族に新たな住まい方を提案するこの住宅は、2025年のA' Design Awardでシルバー賞を受賞し、注目を集めている。

「Terra Cascade」は、自然との調和を追求した設計思想が随所に息づく住宅である。大きな窓や開放的なバルコニーが、室内外の境界を曖昧にし、四季の移ろいを日常に取り込む。プライバシー、交流、眺望のバランスを巧みに調整し、住まい手が自然と共に暮らす新しいライフスタイルを体現している。

この住宅の最大の特徴は、インターロッキング(組み合わせ)構造による垂直空間の再定義にある。回転するバルコニーが自然光を巧みに取り入れ、各階の交流を促進。内部空間は柔軟性と適応性を重視し、家族構成やライフステージの変化に応じて自在に変化できる設計となっている。森の景色を最大限に生かし、未来の住まいの在り方を探求している点も特筆に値する。

建築には、低炭素ストーンや再生木材など、環境に配慮した素材が採用されている。線的なテクスチャーが重層的なファサードを形成し、スチール階段とRC柱が軽やかさと強度を両立。バルコニーは不透明から透明へと素材を切り替え、空間の流動性と自然との一体感を高めている。室内にはマグネット式の照明やスマートガラスを導入し、夜間には柔らかな反射が現代的な優雅さを演出する。

5階建て・延床面積105㎡のこの住宅は、5つの寝室、2つのリビング、6つのバスルームを備え、縦方向に巧みに配置されている。各階は多機能に使えるよう設計されており、屋上テラスからはパノラマビューが広がる。オープンな社交空間とプライベートな静寂空間を自在に行き来できる、ダイナミックな住環境が実現されている。

設計プロセスでは、空中写真による眺望分析や地形・法規への対応、素材テストなど多角的なリサーチが行われた。住民のフィードバックやシミュレーションデータを設計に反映し、空間の柔軟性・エネルギー効率・居住者満足度の向上が確認された。急峻な地形と厳しい規制を乗り越え、多世代が共に暮らすための新たな住宅モデルを提示している。

「Terra Cascade」は、自然のリズムと現代の家族の多様なニーズを融合させた、これからの住宅の可能性を示している。都市にいながら自然と共生する暮らしを実現するこのプロジェクトは、持続可能で柔軟な住まいの未来像を提示し、建築とライフスタイルの新たな地平を切り拓いている。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Jimmy Yung
画像クレジット: All images: Yi-Hsien Lee Photography Studio
プロジェクトチームのメンバー: Jimmy Yung Tina Liao
プロジェクト名: Terra Cascade
プロジェクトのクライアント: Happystudio


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