焼き芋ワゴンは、日本の冬の風物詩として長年親しまれてきた。冷えた手を温める焼き芋の熱と、ほのかなオレンジ色の灯りは、多くの人々の心に懐かしさを呼び起こす。平田太一はこの情景に着想を得て、現代の都市生活者にも共鳴するデザインを目指した。特に、障子越しに漏れる柔らかな光のような温もりを、オフィス街や駅前、住宅地に届けることを意図している。
「Wagon Remodeling」は、京都の街並みに特徴的な水平・垂直のリズムに、構造的な理由から斜めの要素を加え、独自の存在感を創出している。伝統的な格子窓の美学を尊重しつつ、斜線を巧みに取り入れることで、ワゴン自体が都市の「地」となり、そこに浮かび上がる「図」としての役割を果たしている。
製作にあたっては、建築・施工のプロフェッショナルとしての知見を活かし、高精度な工業製品ではなく建築的なアプローチを採用。主要構造は大工による木造フレーミング、表面は防水・塗装の専門家によるFRP膜仕上げで構成されている。信頼できる職人たちとの協働により、中間コストを抑えつつ高品質な仕上がりを実現した。
プロジェクトは2020年夏に京都でスタートし、以降も改良を重ねながら複数台が製作されてきた。各ユニットごとに得られた知見を反映し、2023年には第4号機が完成。全長3400mm、高さ1920mm、幅1450mm(トラック含む)という仕様で、機能性と美観の両立を追求している。
「Wagon Remodeling」は、2025年にA' Social Design Awardのシルバー賞を受賞。技術力と芸術性を兼ね備えたデザインとして高く評価された。焼き芋ワゴンの新たなかたちは、都市の日常に温もりと驚きをもたらし、街の風景をやさしく照らし続けている。
プロジェクトデザイナー: taichi hirata
画像クレジット: Image #1: ryo kotaka, unit1, 2020
Image #2: ryo kotaka, unit1, 2020
Image #3: taichi hirata, unit3, 2022
Image #4: taichi hirata, unit4, 2023
Image #5: taichi hirata, unit4, 2023
プロジェクトチームのメンバー: Taichi Hirata
プロジェクト名: Wagon Remodeling
プロジェクトのクライアント: taichi hirata