伝統と革新が融合する竹編み塩壺「Coastal Bam」

地域文化とサステナビリティを体現した現代の塩収集ツール

中国南東部の漁師文化に着想を得た「Coastal Bam」は、伝統的な竹編み技術と現代の金属加工を融合し、持続可能な塩収集と調理を実現する新しいキッチンウェアです。地域の生活様式や風水の知恵を取り入れつつ、衛生性や耐久性も追求したデザインが高く評価されています。

「Coastal Bam」は、浙江省の伝統的な漁村で生まれた塩壺であり、粗塩から発生する塩水(ブライン)を効率的に集めるために設計されています。漁師たちが日常的に行う塩の計量や保存方法に着目し、指で塩をすくいやすい広い開口部を備えています。竹編み部分は六角形や交差編みなど複数の技法を用い、通気性とろ過性能を高めています。

この塩壺の最大の特徴は、二重の竹編みフィルターと金属容器を組み合わせた構造です。竹は柔軟性と成長の早さで知られ、環境負荷の低い素材として地域文化に根付いています。アルミニウム合金の本体は耐腐食処理が施され、衛生面と耐久性を両立。竹編み部分はCNC加工による精密な接合で一体化され、現代技術と伝統工芸の美しい調和を実現しています。

使い方はシンプルです。粗塩をクリスタルファンネルの上に置き、手で必要な分だけすくいます。湿度の高い沿岸地域では塩が徐々に溶け出し、ブラインがフィルターファンネルを通って下部の容器に集まります。このブラインは、豆腐や大豆製品の製造、または料理の調味料として活用されます。竹編みフィルターが不純物を除去し、清潔な塩水のみを集めることができます。

開発には現地でのフィールドワークや材料テストが重ねられ、漁師の調理習慣や伝統的な風水の考え方も反映されています。竹編み技術の習得には多くの試行錯誤が伴いましたが、地元の職人の指導のもと、六角編みや台形編みなど多様な技法を習得。これにより、実用性と美しさを兼ね備えた唯一無二の塩壺が誕生しました。

「Coastal Bam」は2024年に完成し、同年レッドドット・デザイン賞を受賞。2025年にはA'デザイン賞のアイアン賞も獲得し、国際的な評価を得ています。伝統工芸の継承と現代的な機能性を両立したこのプロダクトは、サステナブルなライフスタイルと地域文化の価値を再発見させる存在として注目されています。

伝統と革新が共存する「Coastal Bam」は、日常のキッチンに新たな美意識と実用性をもたらします。地域文化を尊重しながら、持続可能な暮らしを志向する現代の生活者にとって、まさに理想的なデザインと言えるでしょう。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Hou Liang
画像クレジット: Image #1: Creator LiangHou, CoastalBam Jar, 2024. Image #2: Creator LiangHou, CoastalBam Jar, 2024. Image #3: Creator LiangHou, CoastalBam Jar, 2024. Image #4: Creator LiangHou, CoastalBam Jar, 2024. Image #5: Creator LiangHou, CoastalBam Jar, 2024.
プロジェクトチームのメンバー: Liang Hou Wenqi Wu Yichen Chen Hanshu Shen
プロジェクト名: Coastal Bam
プロジェクトのクライアント: Zhejiang University


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