時を味わう革新:関塚真帆「うつろい」酒パッケージの美学

スリットアニメーションで表現する日本酒の時間と贈答体験

関塚真帆による「うつろい」は、伝統に縛られない新しい日本酒パッケージデザインとして、2021年に新潟・上越の竹田酒造店から100セット限定で登場しました。三つの異なるヴィンテージを収めたこのセットは、贈り物としての存在感と、味わいの体験価値を最大限に高めるために設計されています。

「うつろい」は、従来の日本酒パッケージとは一線を画す、ミニマルかつ革新的なデザインが特徴です。クラシカルな装飾を排除し、スリットアニメーションという独自の仕掛けを採用。箱を開ける動作に合わせて、2004年、2012年、2019年という三つの醸造年がロゴの変化として現れ、時の流れを視覚的に体感できます。

このパッケージの最大の魅力は、体験型デザインにあります。スリーブをスライドさせることで、ヴィンテージの年号が次々と現れ、開封の瞬間から「時間を味わう」コンセプトが伝わります。ボトルの封にはクリアバーニッシュと銀箔を用い、各年の琥珀色の深まりを強調。装飾を極力省くことで、酒そのものの美しさが際立つ設計です。

素材選びと印刷技術にも工夫が凝らされています。ギフトボックスには、黒インクの二度刷りとOPバーニッシュを施し、深みのある黒色と高級感を演出。透明PP素材や片面白の厚紙を組み合わせ、コストを抑えつつも贈答品としての重厚感を実現しています。サイズは幅300mm×奥行232mm×高さ64mmと、存在感のある仕上がりです。

このプロジェクトは、伝統的な日本酒の枠を超えた体験価値の創出を目指し、試行錯誤を重ねて完成しました。スリットアニメーションの導入や、素材選定によるコストバランス、オフセット印刷による深い黒の表現など、細部までこだわり抜かれています。贈る人・受け取る人双方に、記憶に残る特別な時間を提供することを意図しています。

「うつろい」は、2025年にA'デザインアワードのパッケージ部門でシルバー賞を受賞。高い技術力と芸術性、そして革新性が国際的にも評価されました。日本酒の新たな楽しみ方を提案するこのデザインは、贈答文化と体験価値を融合させた、現代的なラグジュアリーの象徴と言えるでしょう。

時の移ろいとともに深まる味わいを、視覚と触覚で体験できる「うつろい」。その革新性と美しさは、日本酒を愛する人々に新たな感動をもたらし、贈り物としても唯一無二の存在感を放っています。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: MAHO SEKIZUKA
画像クレジット: Image #1: Maho Sekizuka, 2021. Image #2: Maho Sekizuka, 2021. Image #3: Maho Sekizuka, 2021. Image #4: Maho Sekizuka, 2021. Image #5: Maho Sekizuka, 2021. Video Credits: Maho Sekizuka, 2021.
プロジェクトチームのメンバー: MAHO SEKIZUKA
プロジェクト名: Utsuroi
プロジェクトのクライアント: Takeda Shuzo Co., Ltd.


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